ニュース 電子 作成日:2016年3月4日_記事番号:T00062320
蔡英文次期総統は3日、新竹科学工業園区(竹科)で半導体業界と懇談会を開き、中国「紅色供応鏈(レッドサプライチェーン)」の脅威を前に政府はこれまで以上に台湾の優位性維持に努めなければならず、将来的には半導体産業の川中・川下を統合した「台湾代表チーム」を結成し、世界で戦いたいと述べた。半導体産業発展のために国家レベルの投資会社を設立するとも表明し、新政権は企業のパートナーの役割を果たすと強調した。4日付経済日報などが報じた。
蔡次期総統(右)は、台湾の半導体産業は米国などのソフトウエア産業、日本の重要部品メーカーと手を組めば、台湾を世界のICT(情報・通信技術)製品の支援拠点にすることも可能だと強調した(3日=中央社)
蔡次期総統は産業視察の一環として竹科を訪れ、▽台湾積体電路製造(TSMC)▽聯華電子(UMC)▽力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)▽聯発科技(メディアテック)▽日月光半導体製造(ASE)▽矽品精密工業(SPIL)──の創業者や董事長など、半導体業界の重鎮らと面会した。
蔡次期総統は、半導体産業は台湾経済の屋台骨であり、新政権が注力する▽モノのインターネット(IoT)▽スマート機械▽新エネルギー▽バイオテクノロジー▽国防──の産業発展に欠かせないと指摘。政府は今後、半導体業界とこれらの産業界との提携強化を支援していくと表明した。
台湾半導体産業協会(TSIA)の盧超群理事長は、中国や韓国が半導体を国家戦略産業と位置付け、国力を注いで産業発展を進める中、台湾政府は半導体産業発展ファンドを設立し、投資銀行などの協力を得て海外資金を台湾に呼び込むべきだと提言した。
蔡英文政策弁公室(事務所)の張景森執行長は、ファンド設立は民進党の考えと完全に一致しており、詳細を策定中だと明らかにした。
「団体戦」にデメリットも
蔡次期総統が描く台湾半導体チーム構想について4日付工商時報は、半導体産業は「資本を密集させれば世界的大企業を生み出せる」わけでなく、技術や研究開発(R&D)能力も重要で、関連特許やシリコンIP(知的財産)の蓄積が競争力の鍵を握ると指摘。世界の半導体大手が単独でも勝ち残ってこれたのは、市場競争の中で十分な資金と技術力を積み上げてきたからであり、国家の干渉が少ないほど企業はシェアを拡大しやすいと強調した。国を挙げて世界に挑むとなれば、大企業は中小企業にも配慮せねばならなくなり、中小企業が大企業の足を引っ張る可能性もあると警告した。
メディアテック「部分解禁を」
メディアテックの蔡明介(ミンカイ・ツァイ)董事長は、台湾企業が経営権と重要技術を維持することを前提に、台湾のIC設計業界に対する中国資本の投資をIC製造・パッケージング・テスティング(封止・検査)と同様に、個々の案件で認めるべきだと提言した。
蔡董事長は、川上のIC設計が弱体化すれば、ファウンドリーや封止・検査といった川中・川下産業に影響が及ぶと指摘。米国は個々の案件で中国資本によるIC設計企業への投資・買収を認めており、台湾政府が全面的に禁止し続ければ台湾企業が商機を失うと懸念を示した。
蔡董事長はその上で、個々の案件で中国資本に投資を開放すれば、企業は経営に柔軟性が生まれ、市場開拓や商機獲得、新技術の基準制定などでチャンスが広がるとメリットを訴えた。
民進党「5月以降に検討」
蔡董事長の提言に蔡次期総統は直接コメントしなかったが、民進党シンクタンク産業チームの召集人で台湾経済研究院(台経院、TIER)の龔明鑫副院長は懇談会終了後、蔡次期総統の政策チームが把握している情報はまだ不十分で、新政権が発足する5月20日以降に▽企業の利益▽産業全体への影響▽国家の安全──の3点から検討すると表明した。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722