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産業界、新政権の手腕に期待感=聯合報アンケート


ニュース その他分野 作成日:2016年3月7日_記事番号:T00062345

産業界、新政権の手腕に期待感=聯合報アンケート

 聯合報が業界団体を対象に行ったアンケート調査で、今年の台湾景気が悪くなると過半が回答した一方、蔡英文次期総統率いる新政権が経済振興で実績を挙げるとの回答は4割以上に上り、期待度が高いことが分かった。経済課題としては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など「地域貿易協定への加盟」の回答が8割と最も多かった。中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、韓国が米国、中国などと次々と自由貿易協定(FTA)を発効させる中、台湾の地域貿易協定への加盟はますます急務になっていると指摘した。

 

 聯合報は1月16日の総統選挙で民進党の蔡氏が当選後、工総、中華民国全国商業総会(商総)、台湾区電機電子工業同業公会(電電公会、TEEMA)の理事長など産業界の代表者に対しアンケートを実施し、有効回答102件を得た。

 今年の台湾の景気予測は、「普通」が46.08%、「悪くなる」が45.10%、「非常に悪くなる」が6.86%で、「良くなる」は1.96%にすぎなかった。一方、新政権の経済振興の成果予測については、「非常に期待できる」が1.96%、「期待できる」が40.2%で合計42.16%と、「変わらない」の42.16%と並んだ。「期待できない」は14.71%、「全く期待できない」は0.97%だった。

中台関係「不変」が6割

 台湾の景気に影響を与える不確定要素としては、「海外」が58.82%、「両岸(中台)」が30.39%、「台湾」が9.8%の順だった。新政権発足後の中台関係については、「変わらない」が61.76%で過半を占め、「予測困難」が23.53%、「悪くなる」は12.75%、「良くなる」は1.96%だった。一方、年内に両岸物品貿易協定の交渉が完了しなかった場合、「台湾経済に悪い影響がある」は81.37%に上った。「影響ない」は13.73%、「良い影響がある」は2.94%だった。

 新政権が解決を迫られている経済課題(複数回答可)は、▽地域貿易協定への加盟、80.58%▽政府の効率性向上、63.73%▽産業高度化、48.04%▽人材供給、44.12%▽環境影響評価(環境アセスメント)プロセス、36.27%▽水道や電力供給、21.57%▽用地取得、20.59%▽融資、12.75%──の順だった。

 

 商総の頼正鎰理事長は、新政権の経済振興が横ばい以上の成果を挙げると8割が回答し、中台関係が変わらないと6割が回答したのは、蔡氏に対する信頼感からだと指摘した。産業界がTPPや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などを望んでいることはアンケート結果から明らかで、新政権発足後すぐに両岸協定監督条例を法制化し、両岸サービス貿易協定、物品貿易協定の国会審議、交渉を再開するほか、さらに多くの国・地域とFTAを締結し、輸出先を確保してほしいと訴えた。

新産業推進効果は疑問視

 蔡次期総統の選挙公約、5大創新計画のうち台湾経済にとって重要なものは、▽機械のスマート化、30.39%▽アジアのシリコンバレー構築、19.61%▽バイオテクノロジークラスター構築、18.63%▽クリーンエネルギー、17.65%▽国防産業発展、5.88%──と回答がばらけた。

 中央大学台湾経済発展研究中心(台経中心)の呉大任主任は、台湾で強い産業が含まれず、新政権がどれほど注力しても、効果は限定的とみられているのではないかと語った。

【図】