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鴻海iPhoneレンズ受注増も、シャープ買収でカンタツと取引拡大


ニュース 電子 作成日:2016年3月8日_記事番号:T00062370

鴻海iPhoneレンズ受注増も、シャープ買収でカンタツと取引拡大

 鴻海精密工業はシャープ買収により、シャープが筆頭株主の日本のカメラレンズ大手、カンタツ(本社・栃木県矢板市、阿久津肇寿社長)との取引を拡大して、アップルのスマートフォン「iPhone」用カメラレンズの受注を増やせる見込みだ。iPhone用カメラレンズは現在、大立光電(ラーガン・プレシジョン)を筆頭に玉晶光電(GSEO)、中国の舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)なども供給しているが、サプライチェーンに変化がもたらされる可能性がある。8日付経済日報が報じた。


多数のメディアがシャープのタイ子会社前で待ち構えていたが、郭董事長は姿を見せなかった(7日=中央社)

 カンタツ事業戦略室によると、同社に対するシャープの出資比率は現在44.4%に上るが、シャープの連結対象子会社ではなく、独立した経営を維持している。鴻海はシャープ買収後、シャープが保有するカンタツ株を取得し、アップルに対してiPhone組み立てだけでなく、シャープを通じて液晶パネル、カンタツを通じてカメラレンズも提供できるようにするという。

 証券会社は、鴻海のシャープ買収の主な目的はハイエンドパネル技術の充実だが、カンタツの技術もシャープ買収効果の一つと指摘した。

 カンタツをめぐっては、アップルから出資を受け、月産能力2,500万個を今年半ばに倍増させると伝えられている。業界では、アップルが今年下半期に予定するiPhone新モデル発売に間に合わせ、ラーガンから受注を奪う可能性が指摘されている。

 アップル自身がカンタツを支援しているのに加え、鴻海がカンタツとの関係を強化すると、既存のカメラレンズサプライヤーにとっては最悪の展開だ。業界関係者は、下半期に激しい受注競争が繰り広げられると懸念している。

 カンタツの脅威に対し、ラーガンの林恩平執行長は「競争は常に存在する」と冷静に受け止めている。

利益ゼロの可能性も

 ラーガンの月産能力は1億個。アップル以外に華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、小米科技(小米、シャオミ)、ソニーなどにも供給している。経済日報は、ラーガンがスマホ用カメラレンズで世界首位に君臨しているのは技術と良品率で同業に勝っているためで、アップルがiPhoneのカメラレンズ規格を向上させた場合、カンタツは受注量が増えても収益を上げられるとは限らないと指摘した。

郭董事長、シャープ会議に参加

 鴻海は7日、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長がシャープの招きを受け、シャープがバンコクで開いた事業拡大会議に参加したほか、シャープのタイ工場区を視察したと明らかにした。これについて市場では、鴻海が既にシャープの事業に関わっている証拠で、早ければあす9日、遅くとも今週中にも買収に向けた最終交渉の結果が出ると予想されている。

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