昨年WiMAX(ブロード無線通信技術)事業権を獲得した全球一動(グローバル・モバイル)に対する、中華電信にによる14.9%、1億6,000万台湾元(約5億1,500万円)の出資案が20日、国家通信伝播委員会(NCC)により不許可の判断を下された。21日付工商時報によると、中華電信のWiMAX市場への展開に当面ブレーキがかかった形だが、「市場規模拡大の推進役となる大企業の1社を失った」と惜しむ業者もある。
中華電信は昨年7月に行われたWiMAX事業権の入札に参加したものの、入札金額が低く落選。その後、全球一動への出資を決め、全球一動は中華電信から出資申請があったと12月末にNCCに報告していた。
これに対しNCCは、出資案を認めた場合、その後中華電信が出資比率を上げ、全球一動が下げれば、いったんは入札で落選した中華電信がWiMAXの事業権を握る恐れがあり、同時に落選した同じ大手通信キャリアである台湾大哥大(タイワン・モバイル)に不公平という判断を下した。また、全球一動の当初の投資計画書には中華電信の名称がなかったのに、12月末になって初めて出資報告がなされたことも問題視された。
全球一動の現在の資本金は11億2,000万元だが、中華電信による出資が認められなかったため、9億6,000万元に低下する。NCCの規定によるWiMAX事業者の最低実収資本金は10億元で、4,000万元の不足が生じるため、全球一動は10日以内に新たに不足分を集めなければならず、できなければ最悪の場合、事業許可の没収の恐れもあるという。
事業撤退は否定
中華電信の謝剣平財務長(CFO)兼スポークスパーソンは、NCCの決定を尊重し、全球一動からの出資を引き上げ、今後も出資を行うことはないと表明した。一方で、WiMAX事業への展開を中止する考えのないことも言明。経済部工業局のモバイル台湾計画による、宜蘭での小型WiMAX実験網計画は、今後も推進するとした。
中華電信は全球一動との提携で、将来東南アジアでWiMAXを展開する計画を持っていたが、これは推進できなくなった。