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作成日:2008年3月23日_記事番号:T00006293
民進党、結党以来最大の危機
今年1月の立法委員選に続き、総統選でも惨敗を喫したことで、民進党は結党22年目にして最大の危機を迎えた。
民進党は立法院で国民党に3分の2以上の議席を握られた後、総統選でも有権者離れに歯止めがかからず、8年間の「本土政権」(本省人勢力による政権)に終止符が打たれた。
今後は陳水扁総統の国務機密費不正流用疑惑などで地に落ちたイメージの回復に加え、党内対立の解消など課題は山積している。当面は2010年に行われる台北・高雄市長選挙までに党勢の立て直しを図り、有権者の支持を取り戻すことが急務だ。しかし、小選挙区となった立法院で同党は影響力を大きくそがれており、長期低迷期に入ることが避けられない見通しだ。
また、「台湾独立路線」か「中間路線」かという党内対立のベクトルがどちらに向かうのかも気になる。「台湾ナショナリズム」だけに凝り固まっていては支持を得られないことが、今回の選挙結果からもはっきりしたためだ。
総統選で敗れた謝長廷氏は、「落選したら政界を引退する」「これが最後の戦いだ」と背水の陣を敷いた。61歳という若さでの政権引退は、惜しむ声が多い。ただ、敗北と同時に党主席の辞任を表明しなかったのは、その後の党内抗争を懸念したためとみられる。党内では世代交代を求める声が強まると考えられるが、陳水扁総統に近い正義連線、謝系(謝長廷派)、新潮流系などの勢力がきっ抗しており、派閥抗争が泥沼化する事態もあり得る。このため、世代交代問題にいったんフタをした上で、蘇貞昌氏、游錫堃氏ら党主席経験者が再登板し、現在の執行部が当面とどまるとの観測が強まっている。