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南部は接戦、北部は過去最大の得票差=得票状況分析


ニュース 政治 作成日:2008年3月23日_記事番号:T00006296

南部は接戦、北部は過去最大の得票差=得票状況分析

 
 今回の総統選では、国民党は民進党の地盤である南部で小幅な負けにとどめることができた一方、北部と中部で大きくリードして、全体で大勝した。民進党は謝長廷候補が市長を務めていた高雄市、および台南市でも国民党の得票数を下回るなど、深刻な伸び悩みに見舞われた。
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 嘉義以南の南部7県市は、前回総統選で民進党の陳水扁候補が国民党の連戦候補に66万票差を付け、接戦を制する大きな要因となった。しかし、今回は国民党の南部重視戦略が功を奏し、7県市すべてで得票差が前回から大幅に縮まり、国民党は8万5,000票余りまで差を縮めた。

 23日付中国時報によると、民進党は事前に、高雄県市、蘇貞昌副総統候補がかつて県長を務めた屏東県、陳総統の地元台南県市を合わせて60万票差をつけると予想していた。しかし蓋を開けてみると、前回陳候補が10万票の差をつけて勝った高雄市は国民党に3万票差で敗れ、前回8万票差で勝った屏東県も今回はわずか2,000票余りのリードに縮まった。謝候補の得票数が馬英九候補を最も多く上回った台南県でも、その差は前回の19万票から今回7万7,000票へと大幅に縮まった。

「濁水渓神話」崩れる
 
 台南市は、民進党が10年来大型選挙では負けなしだったが、今回は国民党に6,000票のリードを許し、前回民進党が1万8,000票差で勝った嘉義市でも、蕭万長国民党副総統候補の地元ということもあって国民党が7,000票余りを付けて逆転した。これまで「(国民党は)濁水渓より南へは渡れない」と言われるなど、南部は伝統的に民進党が強い地盤だが、1月の立法委員選挙に続き、「濁水渓神話」はもはや過去のものになったようだ。

予想以上だった北部での大勝
 
 伝統的に国民党の地盤である北部では、国民党と民進党の票差が前回の100万票弱から今回は過去最大の約165万票差とまで広がり、国民党の地滑り的な勝利となった。

 国民党陣営は、前回北部での得票差を広げられなかったことが大きな敗因と考えて、南部に加え北部も重点地域と定めていた。苗栗県、宜蘭県以北の北部8県市は2005年の地方首長選挙を経てすべて国民党が首長を占めており、これら首長の集票活動、また今年1月の立法委員選挙の勢いが持続し、同党の事前予想の114万票を大きく上回る差が付いた。

 特に有権者数が280万人余りと台湾全土の6分の1を占める台北県は、民進党の蘇副総統候補が県長を務めていた前回は13万票の差にとどまったが、今回は50万票に差を広げた。

前回接戦の中部も民進党惨敗
 
 前回大接戦となった台中県は、民進党が国民党に付けた3万票差がそのまま総統選全体の得票差となったことからも分かるように、総統選を占う上で非常に重要な戦略地域と目されていた。しかし、今回同県では国民党が約15万票差をつけて大勝し、中部の勝敗を決定付けた。

 前回民進党が約8万票差で大勝した雲林県も、今回も勝ちはしたものの1万票余りの差を付けたにとどまり、その他の県市でも軒並み大差での敗北を喫し、中部5県市の得票差は約46万票に開いた。

 民進党の選挙戦における「軍師」を長く務めた吳乃仁同党元秘書長は選挙前、「台湾中部で接戦に持ち込めなければ、北部での得票差を南部での差で補うことは難しい」との予測を示していたが、同党はすべての地域で得票が予想を下回る、総崩れ状態になったといえる。