ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

長栄集団の後継争い、張国華氏に軍配


ニュース 運輸 作成日:2016年3月14日_記事番号:T00062977

長栄集団の後継争い、張国華氏に軍配

 長栄集団(エバーグリーン・グループ)創業者で総裁だった張栄発氏の死去に伴い、遺産相続と後継体制をめぐり、長男の張国華氏と四男の張国煒氏が対立していた問題で、張国煒氏は11日、長栄航空(エバー航空)董事長の資格を失い、張国華氏がエバー航空を含むグループ全体を掌握する方向性が固まった。

/date/2016/03/14/13ever_2.jpg
張国煒氏(左)は、自身のエバー航空に対する忠誠心は変わらず、従業員には今後もブランドの国際化を推進してほしいと語った(12日=中央社)

 張国煒氏はエバー航空の大株主である張栄発慈善基金会から董事として派遣される形でエバー航空の董事長を務めてきた。しかし、長男勢力が同基金会を代表する董事を交代させたことで、張国煒氏はエバー航空董事長にとどまれなくなった。

 今回の解任劇は自らパイロットも務める張国煒氏が11日、シンガポールへの定期便に乗務中に周到な準備に基づき進められた。当初は23日に予定される臨時董事会で張国煒氏の去就が決まる見通しだったが、歩み寄りを見せない張国煒氏に対し、張国華氏は張国煒氏の不在を見越して、解任劇を実行に移した。

 張国煒氏はシンガポールで「向こうは議決権で優勢であり、どうしようもない」と敗北を認めた。張国煒氏は解任劇を事前には知らなかったといい、今後しばらく休養した上で、製造業で再起を目指す考えを示す一方、航空業には関与しない意向を示した。

遺産は寄付せず

 お家騒動の発端は、張国煒氏が張栄発氏の遺言に従い、総裁職に就任し、遺産を全て相続することを表明したことだった。張国華氏は当初、張国煒氏が遺産の全額寄付などに応じることを条件として、張国華氏が海運部門の長栄海運(エバーグリーン・マリン)を、張国煒氏がエバー航空をそれぞれ率いる「海空分離」体制を維持することにも含みを持たせたが、張国煒氏が譲歩しないため、実力行使に踏み切った。

 もっとも張国煒氏は張栄発氏の遺言に基づき相続した現金、株式などの財産の寄付には応じない構えだ。張国煒氏の担当弁護士、宋耀明氏は「全ては遺言通りに進める。(長男勢力は)張国煒氏に財産寄付を求める権利はない」と主張した。

 一方、一連のお家騒動で、エバー航空が昨年末にボーイング社と交わした73億2,400万米ドルの航空機購入契約が見直されるのではないかとの観測が浮上していたが、長栄集団の広報担当者は12日、「契約通りに進める。心配は無用だ」と強調した。