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国民党の馬英九候補が当選、8年ぶりの政権交代へ


ニュース 政治 作成日:2008年3月23日_記事番号:T00006298

国民党の馬英九候補が当選、8年ぶりの政権交代へ

 
 22日行われた総統選挙で、中国国民党(国民党)の馬英九候補(57)が圧勝し、国民党が8年ぶりの政権交代を果たすこととなった。民進党政権の実行力の乏しさや腐敗などに対する有権者の不満を背景に、経済振興や中台関係の改善などを訴え、幅広い支持を集めた。民主進歩党(民進党)の謝長廷候補(61)は、馬氏の両岸(中台)共同市場推進の公約を「やがては中台統一に向かう『一つの中国市場』」と批判するキャンペーンを行ったが、民進党政権への中間層の不信感は強く、訴えは広まらなかった。
 
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支持者の声援に応える馬英九候補(左)と蕭万長副総統候補(右)。公約である社会の安定を実現するには、巨大与党のコントロールが課題となる(22日=YSN)
 
 馬氏の得票数は765万8,724票(得票率58.45%)で、謝候補の544万5,239票(得票率41.55%)に約221万票もの大差をつけた。投票率は76.33%で、前回2004年より3.95ポイント減。民進党の陳水扁候補が国民党の連戦候補を約3万票の僅差で破った前回の拮抗状態から一転大幅な開きが生じ、民進党のこの4年間の顕著な評価下落を物語っている。民進党は04年12月の立法委員選挙以降、引き分けに終った台北・高雄市長選挙を除いて4連敗で、ついに政権を失うこととなった。

 221万票差は国民党自身の予想を超えた大勝だったようだ。23日付中国時報によると、選対本部は当初120万票差での勝利を予想。開票前に180万票に上方修正したが、それをも上回った。馬候補の得票率58.45%は、96年以降の4回の総統選の中で最高だった。

「中国訪問は計画なし」
 
 22日は午後4時の開票開始後、馬候補が一貫してリードを保ち、大勢は1時間でほぼ明白となった。台北市愛国西路の馬候補の競選総部(選挙対策本部)には勝利を確信した支持者が続々と詰め掛け、鳴笛を鳴らしたり、青天白日満地紅旗を振って勝利を祝った。集会の司会者は「8年間のつらい我慢」を語り、支持者の間には喜びと興奮のほか、安堵したような雰囲気も流れていた。

 午後7時半、馬氏がステージに登壇し、「総統当選おめでとう」の歓呼の声の中で勝利宣言を行った。馬氏は、経済振興に優先的に取り組み、選挙戦で打ち出したさまざまな公約を実行していくと表明。また、政治対立を終らせ社会の安定を回復させるため、民進党に対し協力を呼び掛けた。さらに、自由と民主が台湾の核心を成す価値であるとして、全力で守るという決意を示した。

 勝利宣言後の記者会見では、中国訪問の可能性についての質問を受け、「正式に就任する前に、重要な数カ国を訪問するが、大陸(中国)を訪問する計画はない」と語った。馬氏の就任式は5月20日に行われる。

「台湾の主体性の後退ではない」
 
 一方、民進党陣営は台北市長安東路の選対本部に支持者が集まり、開票の様子を見守った。得票差が開くにつれ、小雨も降り始めて重々しい雰囲気に包まれた。ステージの司会者の言葉も、逆転を信じようとの呼び掛けから、呆然とする支持者をなぐさめる内容へと変わっていった。
 
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謝長廷候補(中央)は、「敗戦ならば政界から引退する」と表明していた。民進党は敗北を機に世代交代が進むとみられる(22日=YSN)

 午後7時半、謝候補がステージに登場し、支持者に深々と頭を下げた後、「この結果を受け入れ、馬候補と蕭万長副総統候補にお祝いを述べる」と敗戦の弁を語った。支持者から涙ながらの「加油!加油!(がんばれ)」という声援がこだまする中、謝候補は「今回の敗北は私個人の敗北であり、台湾の主体性の後退ではない。これは民主主義の成果であって敗北ではない。私のために泣かないでほしい」と支持者を励ました。

住民投票、否決
 
 総統選と同時に行われた「台湾名義による国連加盟」および「中華民国名義による国連復帰」の住民投票は、前者が投票率35.82%、後者が35.74%で、いずれも「全有権者数の2分の1の投票者数が必要」という住民投票の成立要件を満たさず、否決された。住民投票は、国民党が拒否姿勢を明確にしていたため、不成立は事前に予測されていた。
 
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