ニュース 建設 作成日:2016年3月14日_記事番号:T00062988
経済部中央地質調査所(地調所)は14日、台北市や高雄市など8県市の液状化危険度を検索できるシステムを公式サイトで公開した。液状化リスクの高い地域は8県市合計で2万8,000ヘクタールを超え、うち台北市中山区、高雄市前金区など中心部の人口密集地が含まれている。地調所は市民に「高リスク地域と判明しても過剰に恐れる必要はない」と呼び掛けたが、不動産業界は、高リスク地域の住宅取引がさらに低迷し、住宅価格が下落して消費者トラブルが急増すると懸念している。同日付蘋果日報などが報じた。
台北市の液状化危険度マップ。多くの交通施設が高リスク範囲に含まれており、交通部は建物などに亀裂や地盤沈下がないかを全面的に調査すると表明した(14日=YSN)
行政院は2月の台湾南部地震を受け、経済部に対し液状化リスクの検索システムを1カ月以内に公開するよう求めていた。
地調所の検索システム(http://www.moeacgs.gov.tw/2016.htm)は建物名や道路名を入力して検索すると、該当地域の液状化リスクが表示される仕組みだ。震度5~6の地震発生時に液状化現象が起きる可能性がある高リスク地域は赤色、地盤に軽度~中度の影響を受ける可能性がある中リスク地域は黄色、軽度の影響または影響がないと予想される低リスク地域は緑色でマップ上に表示される。
検索システムの対象県市は現時点で▽台北市▽新北市▽宜蘭県▽新竹県市▽台南市▽高雄市▽屏東県──の8県市。うち台北市の高リスク地域は、中山区のほぼ全域と大同区東部、基隆河沿いの地域に集中しており、台北松山空港や台北駅、台北MRT(都市交通システム)の中山、松江南京、大直駅などが含まれる。総統府、行政院、立法院は中リスク地域、台北101ビルは中~低リスク地域だ。
新北市では淡水河沿いの三重区や、新荘区などに高リスク地域が集中。新竹県市は海沿いの南寮漁港周辺のリスクが高いが、それ以外はほぼ低リスク地域だ。
高雄市では前金、新興、塩埕、苓雅、三民の各区など、高雄港、愛河に近いエリアに高リスク地域が集中し、台湾鉄路(台鉄)高雄駅、高雄MRT美麗島駅などを含む。仁武工業区も高リスク地域だ。
地調所は、高リスク地域内の建物でも▽1999年9月の台湾中部大地震後に制定した新耐震設計基準を満たす▽3階以上の地下室を有する▽基礎工事でくい打ち工法を採用──などの条件を満たしていれば、液状化しても建物が損壊する可能性は低いと指摘した。
行政院は、高リスク地域内に位置し、99年末までに建設許可を取得した建物の構造診断補助として、20億台湾元(約70億円)の拠出に同意しており、25万件が補助を受けられる見通しだ。
台中市など年末にも追加
地調所は、検索システムの対象に▽台中市▽彰化県▽嘉義県▽雲林県──を早ければ今年末に追加し、▽桃園市▽苗栗県▽南投県▽基隆市▽花蓮県▽台東県──など液状化リスクの低い県市は18~19年に調査を行う予定と説明した。
契約書にリスク記載義務化へ
行政院消費者保護処(消保処)は、不動産売買の標準契約書に液状化リスクの記載を義務付ける関連規定改正の是非について、15日に内政部や経済部水利署、専門家などの有識者を集めて話し合い、記載義務化で合意できれば下半期にも実施する方針だ。
「住宅市場の回復遅れる」
不動産業界関係者は、液状化リスク公表により、業界の伝統的なキャンペーン期間「329檔期」(3~4月)の需要に悪影響を与え、住宅市場の回復が遅れると懸念を示した。住宅市場では、液状化リスク地域の超高級住宅(豪宅)購入を避ける動きが既にあったが、今後はこうした動きが広がりそうだ。一方で、液状化リスクのない地域の物件は今後注目を集めると予想されている。
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