ニュース 社会 作成日:2016年3月17日_記事番号:T00063060
妊婦が公共交通機関で席を譲ってもらえるよう、台北市は4年前から「妊娠バッジ」を無料配布しているが、多くの妊婦から「このバッジを着けていても効果はほとんどない」との声が上がっていることから、自由時報の記者がこのほど調査を行った。
妊娠バッジ。男性市民からは「そもそも女性の体や服装を凝視することはあり得ない」といった声が上がっており、やはり依然としてお腹の大きさで妊婦かどうかを判断することが多いようだ(台北市衛生局リリースより)
妊娠初期は、多くの妊婦でめまい、吐き気、疲れやすいなど体調に異変が生じやすい上、流産の危険性も高いとされるため、周囲の気遣いが求められる。しかしこの時期、妊婦のお腹はまだ目立つほど大きくなっておらず、公共交通機関に乗っていても他の乗客には気付かれにくくい。このため台北市衛生局は2012年、「妊娠バッジ」の配布を開始。妊婦がこれを着用することで周囲の人間から見分けやすくし、適切な気遣いが受けられるようになる効果を期待した。
しかし妊婦からは「バッジを着けて交通機関に乗っていても、席を譲られることはほとんどない」との指摘が上がっている。その背景には、堂々と胸に着けるのは気恥ずかしいためバッグなどに着ける妊婦が多いことや、都市交通システム(MRT)やバスなどではほとんどの乗客がうつむいているためバッジに気付かないという実情があるようだ。
実際、自由時報の記者が妊娠初期の女性に同行してラッシュ時で混雑する台北MRTの列車内で調査を行ったところ、板南線の市政府駅から忠孝復興駅までの3駅を移動する間に女性が座席を譲られることはなかった。記者が観察したところ、女性の正面に座っていた男性は妊娠バッジに気付いたように見えたが、すぐに目をそらしたようだ。またその近くに座っていた乗客もおしゃべりに夢中だったり、目を閉じて眠っていたり、うつむいてスマートフォンを操作していたりと女性に目を向けることはなかった。
こうした状況について社会福祉団体、励馨社会福利事業基金会の洪雅莉主任は、「バッジ配布の考え方は立派だが、市民の共感が得られるよう啓蒙活動をより強化する必要がある」と指摘した。台北市衛生局も、バッジが市民に広く周知され、妊婦が必要とする気遣いを受けられるよう交通機関などに広報を強化するよう協力を求めていくとの方針を示した。
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