ニュース 政治 作成日:2016年3月21日_記事番号:T00063094
中国人観光客の訪台が今月下旬から減少したり、中国が2年前に台湾と断交したガンビアとの国交を回復するなど、中国が台湾への圧力を徐々に強めていると観測される中、蔡英文次期総統は21日付中国時報のインタビューで、5月20日の就任前の現段階こそ、中国側から台湾への善意表明に期待したいとの考えを示した。「一つの中国」の表現への踏み込みを求める中国とは依然平行線で、同紙は台湾海峡に「コールドピース(冷たい平和)」が訪れるとの見通しを示した。
蔡次期総統は「信頼関係は善意の積み重ねの上に生まれる」と強調した(中央社)
中国側は中台の平和的関係継続の条件として、蔡氏側に「1992年の共通認識(92共識)」の順守と「両岸(中台)は共に一つの中国に属する」ことを表明するよう求めている。中国時報は、蔡氏が仮に総統就任演説でこれらに触れず、「両岸は国と国との関係ではない」とも表明しない場合は、現状の安定に寄与するか、または現状の変更になるかと質問したが、蔡氏は「就任までは回答しない」と述べた。
蔡氏はまた、中国の期待と台湾の民意の間には大きな落差があり、台湾の民主社会は中国が向き合わなければならない現実だと指摘した。中国側に善意を求めることについては、「中国がそれについて考える能力があると信じる」と語った。
馬時代以下で陳時代以上
中国時報は蔡氏就任後の中台関係について、「蔡氏は『一つの中国』を語らずともそれに近づいていき、中国は不満ながらも当面は我慢する」状態になる可能性が最も高いという、中国側の学者の見方を紹介した。台湾は蔡氏が現状維持の民意に従い中国を挑発することはないが、台湾独立を理念とする民進党の党綱領にも手を付けない。中国は台湾に関する政策を台湾に通知せずに一方的に展開し、中台関係の拡大・縮小を主導する。この状況の下、中台の首脳会談やホットライン、国務院台湾事務弁公室(国台弁)主任と行政院大陸委員会(陸委会)主任委員との定期会談は中断し、海峡両岸関係協会(海協会)と海峡交流基金会(海基会)の協議も継続できなくなる。
こうした関係について同紙は、「馬英九政権時代よりも良くならないが、陳水扁政権時代よりも悪くならない『コールドピース』になる」との展望を示した。
現在は観察期
21日付聯合報によると、中国は当面の対台湾方針として、▽両岸の局面安定を図る▽過去の交流成果を維持する▽逆行の企図を防止する▽「硬」が主で「軟」を従に▽手法は柔軟に▽米国を通じて台湾を制する▽独立を強く批判する▽蔡英文氏への批判は少なめにする▽両岸に緩和空間を作り出す──の9方針を打ち出しているという。
すなわち、中台関係の安定拡大を理想として、蔡氏個人への批判は控えて柔軟性に対応できる余地を残す方針であることが分かる。現在は2000年に陳水扁氏が当選を果たしたときと同様、蔡氏の言動を見極める時期との認識のようだ。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722