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HTC売るほど損の悪循環に、スマホ1台販売で損失38ドル


ニュース 電子 作成日:2016年3月22日_記事番号:T00063119

HTC売るほど損の悪循環に、スマホ1台販売で損失38ドル

 スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)は1台売れれば38米ドルの損失が出る状況だ。昨年第4四半期の1台当たり平均出荷価格(ASP)は237米ドルとアップル、ソニーに及ばず、出荷台数は340万台とサムスン電子の20分の1以下だ。スマホ業界は、固定費の割合が高い費用逓減産業で、中価格帯ながら出荷規模の小さいHTCは、売れれば売れるほど赤字の「逆ざや」状態に陥っている。22日付工商時報が報じた。

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 米ハイテクサイト、The Overspillの試算によると、HTCの昨年第4四半期の平均単価(237米ドル)は、アップル(691米ドル)、ソニー(422米ドル)に続き3番目に高いものの、出荷台数(340万台)は上位6社で最も少なく、1台当たりの損失(38米ドル)は最も大きい。

 HTCは旗艦機種「HTC One M9」の販売不振で、昨年第2四半期に純損失が80億台湾元(約280億円)と、2014年第1四半期以来の赤字に転落した。昨年第4四半期に発売した「HTC One A9」も売れ行きは並程度で、出荷台数、平均単価の引き上げには貢献不足だった。今年4月に発売するとみられる「HTC One M10(HTC10)」で、出荷規模拡大、単価向上を図れるかが四半期赤字脱却の鍵となる。

 HTCは報道に対しノーコメントだ。

ソニー、高価格化に成功

 一方、HTCのライバルとされるソニーは昨年、ラインアップから低価格機種を大幅に削減し、高単価のZシリーズと中価格帯のCシリーズを主力に据えた。これにより、平均単価が上昇し、昨年第4四半期には422米ドルと、アップルの691米ドルに次ぐ水準となった。出荷台数は760万台にすぎないが、1台当たり26米ドルの利益が出ている。

 サムスンは、中国やインドでハイスペックの低価格機種を大量に発売したことで、平均単価は225米ドルとHTCを下回った。ただ、出荷台数は8,150万台と最も多く、1台当たり23米ドルの利益を生み出した。

 アップルは平均単価691米ドル、出荷台数7,825万台で、1台当たり利益184米ドルと、安定した強さを見せ付けた。アンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホの平均単価は2010年の400米ドル余りから、今や200米ドル余りまで低下したが、iPhoneシリーズの平均単価は700米ドル前後を推移している。

 LGエレクトロニクスは、出荷台数が1,530万台と3位ながら、平均単価210米ドルで、1台当たり損失が3米ドル。マイクロソフト(MS)は平均単価が186米ドルと上位6社で最も低く、出荷台数は450万台。1台当たりではHTCに次ぐ36米ドルの損失を出している。

【表】