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ネットで母乳を違法販売、衛生当局が調査強化へ


ニュース 社会 作成日:2016年3月22日_記事番号:T00063138

ネットで母乳を違法販売、衛生当局が調査強化へ

 乳児には母乳を飲ませるべきとの風潮が強まる中、インターネット上のオークションサイトでは最近、母乳を個人売買するケースが見受けられるようになっている。しかし、母乳の売買は違法行為に当たる上、伝染病への感染など健康上のリスクがあるとして問題視されており、衛生福利部(衛福部)が調査を進める方針を示した。

 生まれたばかりの子供を母乳で育てることは母子の健康を増進するだけでなく、親子間の親密さを深めるとして奨励され、これに賛同する母親も多い。

 しかし、高齢出産した女性、痩せた女性など、母乳が出にくいケースもあり、しかも母乳バンクでは一般向けに母乳を提供していないことから、母乳を入手するには知人から譲り受けたり、ネットなどを通じて購入する以外に方法がない状況だ。

 中国時報の記者が調査したところ、ある大手オークションサイトで販売されていた母乳は、真空パック入りで冷凍配送するというもので、価格は1ミリリットル当たり20台湾元だった。2014年2月から販売されていたようだが、このほど突然販売を停止した。サイトに問い合わせたところ、母乳の販売は違法行為に当たるため、サイトの規定に沿って販売を停止させたと説明した。

 衛福部によると、母乳は「体液」と「食品」の性質を兼ね備えるが、体液としての母乳は伝染病感染のリスクがあるため、台湾では「伝染病防治法」によって他人への提供が禁止されている。食品として販売する場合は「食品安全衛生管理法」に基づく検査を受ける必要があるため、個人的に販売する行為は違法となる。

 また台北市立聯合医院・和平婦幼院区小児科の方麗容医師は、ネット上で販売されている母乳は保存方法が不適切だった場合、輸送中に細菌に感染する可能性があるほか、売り手が提示する健康診断や血液検査に関する証明書が古いなど問題が散見されると指摘した。母体がB型、C型肝炎やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染していた場合、母乳を通じて乳児に感染する恐れもあると警告している。

 なお台湾では台北市立聯合医院・和平婦幼院区と衛福部立台中医院が母乳バンクを運営しているが、早産や病気などで母親が授乳できない場合などに医師の判断の下、無料提供されており、一般向け販売は行っていない。このため、立法委員からは衛福部に対し、米国などのように母乳バンクによる一般への販売を行うよう求める声が上がっている。