ニュース その他分野 作成日:2016年4月11日_記事番号:T00063443
昨年、中国子会社を、売却、清算、解散、破産で処分した台湾の上場、店頭公開企業は44社に上り、その資産規模は148億台湾元(約490億円)で過去最悪となった。このうち店頭公開企業が41億元を占め、従来の10億~20億元より倍増した。鴻海精密工業などハイテク大手や銀行は中国投資が順調だが、中国経済の減速、原料・人件費上昇など投資環境が悪化する中、中小企業は中国メーカーとの競争に敗れ、「損切り」を余儀なくされている。9日付自由時報が報じた。
上場、店頭公開企業の2015年財務諸表をまとめた統計によると、昨年中国子会社を清算、解散したのは23社で、▽液晶パネルの瀚宇彩晶(ハンスター)▽タッチパネルの洋華光電(ヤング・ファスト・オプトエレクトロニクス)▽半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)の矽格(シガード・マイクロエレクトロニクス)──など。一方、子会社を処分したのはパソコン周辺機器メーカー、群光電子(チコニー・エレクトロニクス)など21社だ。
これら企業が昨年処分した中国子会社の資産148億元は、これまで中国に投資した698億元の2割以上に相当する。しかも、過去3年の平均は70億元余りだったので、2倍以上に増えた。
中国に子会社を設けた上場企業約5,000社のうち2,000社余りが損失を計上し、過去最大の割合だった。一方、上場企業が昨年、中国投資で上げた利益2,000億元以上のうち鴻海が950億元と約半分を占めた。これらのデータから、一部の成功企業以外は苦戦を強いられていることが分かる。
中国メーカーとの低価格競争で敗北
ハンスターは中国の携帯電話メーカーからの受注で一時は利益が好調だったが、中国パネルメーカーによって低価格で受注を奪われ、昨年上半期に赤字に転落。南京のモジュール工場2基のうち1基を処分することを決めた。
洋華光電も中国メーカーとの価格競争で赤字がかさみ、過去3年で観音工場(台湾桃園市)、深圳工場(中国広東省)、恵州工場(広東省)を閉鎖し、中国生産から撤退した。同社は、中国の顧客は現金払いに限定するなど、近年は受注を選別していると説明した。
シガードは、江蘇省での中国メーカーとの合弁会社が毎年数千万元以上の赤字続きで、昨年清算を決定した。同社は台湾半導体封止・検査業界で初めて中国に進出したものの、初の撤退企業ともなった。
中国送金、2千億元
上場、店頭公開企業1,000社以上が昨年中国に送金した総額は2,033億元に上ったが、中国拠点から台湾への送金は100億元と、還元率5%にすぎなかった。
送金額が最も多かったのは電子業界で874億元だった。うち鴻海が178億元、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)は122億元、友達光電(AUO)が101億元と、3社合計で電子業界の45%を占めた。
スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)の昨年の中国送金額は32億元と、これまでの累計94億元の3分の1以上を占めた。同社は昨年155億元の大幅赤字を計上したが、中国投資は続行している。
このほか、▽光電関連製品大手の光宝科技(ライトン・テクノロジー)、39億元▽台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス、台塑)、24億元▽台湾水泥(台湾セメント)、69億元──の中国送金が多かった。
金融業界の送金額は14年の681億元には及ばないものの、昨年も361億元に上った。馬英九政権が金融業界の対中投資規制を緩和した成果だ。うち▽台湾中小企業銀行(台湾企銀、TBB)、40億元▽華南金融控股、50億元▽兆豊金融控股(メガ・フィナンシャル・ホールディング)、51億元▽第一金融控股、51億元▽彰化商業銀行(CHB)、25億元──と、政府系5社が6割以上を占めた。
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