ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中国IC設計の世界シェア倍増、台湾への脅威増す


ニュース 電子 作成日:2016年4月12日_記事番号:T00063474

中国IC設計の世界シェア倍増、台湾への脅威増す

 中国の製造業発展10カ年計画「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」に伴い、中国の半導体産業が急速に成長している。中国のIC設計企業の2015年売上高は世界市場シェア10%と、5年前の5%から倍増し、台湾企業のシェア18%(10年17%)との差を縮めた。中国は量だけでなく、知的財産権(IP)など質の面も強化しており、台湾のIC設計業に対する脅威が増している。12日付工商時報が報じた。

/date/2016/04/12/top_2.jpg

 ICインサイツが発表した統計によると、昨年の世界IC設計産業の売上高は842億米ドルで、米国に本社を置くIC設計企業が世界市場シェア62%(10年69%)を占めた。台湾、中国に続く4位以下は▽欧州、2%(10年4%)▽日本、1%(10年1%)▽その他、7%(10年4%)──の順だった。欧州のシェア低下は、欧州大手のCSR、ランティックを米クアルコム、インテルがそれぞれ買収したためだ。

 ロイターの報道によると、中国政府は地場のIC設計企業の育成を通じて輸入を減らす方針だ。ファブレスのIC設計会社の世界上位10位に台湾は聯発科技(メディアテック)しか含まれていないが、中国は昨年、華為技術(ファーウェイ)傘下の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)、紫光集団の展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)の2社が初めてランクインした。

 ハイシリコンはハイエンドのプロセッサーの実力が大手に近づいている上、親会社のファーウェイの昨年の携帯電話出荷台数が1億800万台に上り、出荷先も十分だ。

量だけでなく質も向上

 ファーウェイは今年2月に中国スマートフォン市場でアップルのiPhoneを初めて上回った。世界で2番目に大きい中国スマホ市場を制覇し、グローバルスタンダードへの影響力を強めており、台湾の半導体メーカーは中国の特許を無視できない状況だ。

 中国政府の統計によると、アナログICの特許はファーウェイが首位で、クアルコム、インテルが続く。ロジックICはソニー、クアルコムに続きファーウェイが3位。メモリーはファーウェイが首位で、IBM、サムスンがこれに続く。プロセッサーは首位のインテルに次いで、ファーウェイが2位でIBMが3位。ハイシリコンの特許を申請するファーウェイが上位に軒並み名を連ねる一方、台湾メーカーは1社も含まれていない。

 工商時報は、ファーウェイが世界スマホ市場シェアを拡大し、中国スタンダードを世界に広げる中、もし台湾IC設計会社が中国のスタンダード制定に関与しなければ、「ゆでガエル」のように知らぬうちに死んでしまうと警告した。

 ゆでガエルの法則とは、ビジネス環境の変化への対応の重要性を指摘する警句の一つで、「2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は徐々に昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに脱出するが、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する」というものだ。

【図】