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台北ドームの契約解除、市と遠雄が合意


ニュース 建設 作成日:2016年4月14日_記事番号:T00063529

台北ドームの契約解除、市と遠雄が合意

 昨年5月から工事が中断している台北文化体育園区(通称・台北ドーム)について、台北市の鄧家基副市長は14日、事業者の遠雄建設事業(ファーグローリー・ランド・デベロップメント)とBOT(建設・運営・譲渡)契約を解除することで合意したと明らかにした。双方が納得できる合理的な方法で交渉を進め、賠償金や契約内容などについて詳細を詰めるという。約1年に及んだ両者の対立は決着し、今後は台北市がドーム計画を引き続き推進するのか否かに焦点が移る。蘋果日報電子版などが伝えた。

/date/2016/04/14/00top_2.jpg柯市長は「台北ドーム問題が解決できなければ私にとって最大の爆弾になる」と危機感をにじませていた。ただ、相次ぐ大型プロジェクトの解約で市の賠償負担が増えれば、市民の不満がさらに高まることが懸念される(13日=中央社)

 台北ドームは2006年にBOT契約を締結、12年に着工した。17年夏季ユニバーシアードにメーン会場として利用する予定だったが、柯文哲市長就任後の15年5月、安全性への懸念から工事中断を命じられた。17年夏季ユニバーシアードの開会式と閉会式の会場が台北陸上競技場に変更されるなど既に影響が出ているが、設計変更などをめぐり市政府と遠雄の対立が続き、工事再開にめどが立たなかった。

 鄧副市長は、13日夜に遠雄の創業者、趙藤雄氏らと交渉の場を持ち、合意に至ったと説明。解約時期は「急ぐ必要がある」と述べ、解約後、別の業者に工事を引き継がせるかについては「あり得る」と語った。

 遠雄は、市の決定を尊重するとコメント。解約するなら契約規定の査定価格で市がドームを買い戻すことになるが、詳細は今後詰めると説明した。

 台北ドームをめぐっては、柯市長が13日、議会の質疑応答で「解約する方向で処理する」と発言し、遠雄が、ドームの施工費300億台湾元と、工事中断に伴う損失70億元の計370億元(約1,250億円)で買い戻してもらえれば交渉に応じると表明していた。同日夜に行われた交渉で、市政府側は夏季ユニバーシアードに間に合うよう、工事を再開させる意向を示したと伝えられていたが、鄧副市長は14日、工事再開は議論しなかったと否定した。

 台北ドームはBOT事業のため、新たな請負業者を選定して計画を継続する可能性はある。一方、市中心部に大型ドームを作るため、既存の交通機関で緊急時に大量の入場者に対応できるのかを含め安全面で懸念がたびたび示されており、台北市がドーム計画そのものを見直すことも十分考えられる。柯市長も13日の議会答弁で、「(ドームの今後には)あらゆる可能性がある。安全かつ合法な方法で処理する」と述べていた。

南港機廠、日勝生と解約交渉へ

 一方、台北市捷運局は13日、日勝生活科技(ラジウム・ライフ・テック)による台北都市交通システム(MRT)板南線南港機廠(車両基地)共同開発プロジェクトの契約を解除する方向で交渉を進めると発表した。日勝生への賠償金は3億2,000万元とみて、柯市長の承認取得後に正式に交渉を開始するが、折り合えなければ舞台を司法の場に移す。日勝生は「賠償金は少なくとも10億元だ。市政府と交渉する」とコメントした。

 南港機廠プロジェクトは忠孝東路七段と向陽路の交差点の敷地2万3,800坪に、22階建てマンション8棟と30階建てオフィスビル1棟を建設する内容。台北市が用地の99%を差し出している。

 日勝生をめぐっては、MRT小碧潭駅周辺開発プロジェクト「美河市」でも用地の99%を台北市が提供したが、開発後に市政府が保有する権益はわずか30%であることが分かり、問題視されていた。南港機廠プロジェクトでの権益比率は未決定だが、柯市長は1月、美河市の過ちを繰り返さないよう、契約を解除する方針を明らかにしていた。