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16年の半導体市場成長率1%、TSMCが下方修正


ニュース 電子 作成日:2016年4月15日_記事番号:T00063571

16年の半導体市場成長率1%、TSMCが下方修正

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は14日、半導体市場の今年の成長率予測値を従来の2%から1%に下方修正した。劉徳音共同執行長は、世界経済の回復状況が予想したほど良くなく、スマートフォン、パソコン、タブレット端末の世界出荷見通しを引き下げたと説明。ただしプラス成長を続けるスマホが下支えするとみて、ファウンドリーの成長率は5%、同社の売上成長率は5~10%とそれぞれ従来予測を維持した。15日付経済日報などが報じた。

/date/2016/04/15/00top_2.jpg劉共同執行長は、自動車の先進運転支援システム(ADAS)関連でも実需が見られ、同社の先進製造プロセスが採用されていると明らかにした(14日=中央社)

 TSMCは4大製品の今年の世界出荷成長率を▽スマホ、7%(従来8%)▽PC、マイナス6%(マイナス3%)▽タブレット、マイナス9%(マイナス7%)▽その他の消費者向け電子製品、5%(5%)──と予測した。

 劉共同執行長は、TSMCの今後の成長はスマホがもたらすと述べ、中国や新興市場の第4世代移動通信サービス(4G)普及に商機があると指摘した。また最近話題の仮想現実(VR)、拡張現実(AR)市場の成長に期待していると述べた。

南部地震でQ1利益縮小

 TSMCが同日発表した第1四半期の連結売上高は2,035億台湾元(約6,900億円)で、前期比横ばい、前年同期比8.3%減、純利益は647億8,000万元で、前期比11.1%減、前年同期比18%減となった。粗利益率は44.9%と前期比3.7ポイント下落した。何麗梅財務長は、2月の台湾南部地震の影響で、70億元の受注分の出荷が第2四半期に回り、粗利益率を2.2ポイント押し下げた上、対米ドルでの台湾元の急上昇も響いたと説明した。

/date/2016/04/15/TSMC_2.jpg

 第2四半期の売上高は前期比5.7~7.1%増の2,150億~2,180億元と予想した。市場の予想を下回る数字だが、顧客の在庫補充、南部地震に伴う出荷繰り延べが増収に貢献するとみる。また粗利益率は49~51%と、6四半期で最高となる予想だ。魏哲家共同執行長は、中国のミドル~ローエンドスマホの需要は引き続き予想を上回り、粗利益率の高い28ナノメートル製造プロセスの設備稼働率が90%以上とほぼフル稼働となる見通しで、この状況が1年間続くと予想した。

 劉共同執行長は、第2四半期はハイエンドスマホの非需要期だが、第3四半期から新製品向けの需要が期待できるため、下半期は上半期より良くなるとの予想を示した。証券会社は、TSMCはアップルが下半期に発売するとみられる次世代スマートフォン「iPhone7」用プロセッサー「A10」を独占受注しているため、同社の今年の業績は業界平均を上回ると予測した。

先進プロセス準備着々

 注目の先進プロセス開発状況について劉共同執行長は、10ナノは既に多くの顧客向けに試験生産しており、来年第1四半期に本格生産を開始するとの見通しを示した。7ナノは顧客20社が来年15種類の製品をテープアウト(設計完了)する見込みで、量産時期は2018年第1四半期と予想。5ナノについては極端紫外線(EUV)露光装置を導入すると述べた。

【図】