ニュース 電子 作成日:2016年4月19日_記事番号:T00063639
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は18日、年次報告書を発表し、その中で張忠謀(モリス・チャン)董事長は、プロセッサーの処理速度と機能、需要を大幅に高めるものとして、▽スマートカー▽ドローン(無人機)▽VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)/AR(オーグメンテッド・リアリティー、拡張現実)▽人工知能(AI)搭載ロボットとウエアラブル(装着型)端末──を掲げた。その上で、今後数年はこうした新しい応用製品を顧客とともに推進し、業界平均以上に成長すると表明した。19日付工商時報などが報じた。
張董事長。TSMCは先日、総統イノベーション賞を受賞した(中央社)
同社は6月7日に株主総会を開催する。それに先駆け発表した年次報告書によると、同社は今年第2四半期に16ナノメートルFinFET(FF、立体構造トランジスタ)製造プロセスの廉価版となる16ナノFFC(FinFET Compact)プロセスで量産を開始する。コスト低減を実現し、16ナノFinFETプラスから直接移行が可能だ。16ナノFinFETプラスは昨年末に40件がテープアウト(設計完了)した。
今年は16ナノFinFETプラスと16ナノFFCの両輪体制で、インターネット、モバイル、コンシューマー電子製品向けや、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックスプロセッサー)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)などで、高い市場シェアを維持する。
10ナノプロセスについては、昨年技術検査認証を取得しており、今年下半期に量産を開始する予定だ。7ナノプロセスは開発段階で、来年上半期に試験生産を予定している。5ナノプロセスも開発を急ぐ。
3D-IC(3次元実装)を行う集積ファンアウト(InFO)型ウエハーレベルパッケージングは今年半ばに量産開始予定だ。
顧客470社に
年次報告書によると、同社は昨年、▽12インチウエハー出荷枚数、876万3,000枚(前年比6.1%増)▽28ナノ以降の先進プロセスがファウンドリー売上高に占める割合、48%(前年は42%)▽228種類の製造技術を提供し、顧客470社のために8,941種類の異なる製品を生産▽6年連続でファウンドリー市場シェアを拡大──の4点を成し遂げた。
張董事長は、同社の28ナノプロセスは5年目に突入し、昨年テープアウトした案件も増え続けており、今後数年は市場シェア70%以上を維持できると見通しを示した。
「みんなのファウンドリー」
張董事長は、これまで技術的リードと卓越した製造能力で顧客の信頼を勝ち取ってきたと強調。今年は世界経済が回復し、半導体産業を成長に導き、中でも同社は業界平均以上に成長すると予測した。また、TSMCは「みんなのファウンドリー」として、株主に利益を還元していくと表明した。
市場調査会社、ガートナーの統計によると、同社の昨年のファウンドリー世界市場シェアは54.3%と、前年の53.8%より上昇した。ICチップ2個に1個以上は同社が生産している計算で、どの家庭にも同社が作ったICがあると言っても過言ではない。2位のグローバルファウンドリーズ(GF)のシェア9.6%を大きくリードしている。TSMCは今年はシェアを55%以上に乗せて、リードをさらに広げる見通しだ。
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