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ASUS、徐世昌ペガトロン副董事長を後継指名か


ニュース 電子 作成日:2016年4月20日_記事番号:T00063655

ASUS、徐世昌ペガトロン副董事長を後継指名か

 華碩電脳(ASUS)は19日、創業メンバーの一人で現・和碩聯合科技(ペガトロン)副董事長の徐世昌氏(55)を5月1日付で策略長(CSO、最高戦略責任者)に任じると発表した。第3四半期の臨時株主総会で董事会メンバーに選出する。市場では、施崇棠(ジョニー・シー、63)董事長の後継者候補とみられており、早ければ第3四半期に就任するとの観測もある。20日付経済日報などが報じた。

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 市場では、施董事長は長年ASUS経営の第一線に立ち、体力的、精神的に負担が重いこと、また、90歳近い母親と一緒に過ごす時間を持ちたい意向から、徐氏を後継者候補として勧誘していたとの観測が流れた。

 施董事長は同日発表のニュースリリースで、徐氏は全方位を管理できる人材で、鋭い観察力と卓越した洞察力を持ち、複雑な局面でも常に最善の判断を下すことができると評価。ASUS経営陣に加わり、リーディングカンパニーに導いてほしいと期待感を示した。

 ペガトロンは、徐氏は4月30日までに引き継ぎを終え、同社と関連企業の職務から外れると説明した。童子賢ペガトロン董事長は「祝福する」と表明し、ASUSがブランド、ペガトロンが受託生産を受け持つ分業体制に変更はないと語った。

黒子役で活躍

 徐氏は1989年、童子賢、廖敏雄、謝偉崎の各氏と共同でASUSを設立した。ASUS董事、研究開発(R&D)副総経理を歴任し、複数の会社設立、管理に関わった。商品開発、経営管理、戦略企画で豊富な経験がある。徐氏は宏碁(エイサー)のエンジニア出身で、目立つことを好まないが交友関係は広い。施董事長、童子賢氏の信頼が厚く、ペガトロン副董事長としてASUS、ペガトロンの調整役を務めてきた。

 ASUS主管は、徐氏の董事長後継について「ノーコメント」と回答しつつ、施董事長は事業継承を考えており、徐氏をCSOという要職に就け、会社運営を理解させる狙いがあると話した。早ければ第3四半期に董事長に就任する可能性があると語った。

スマホ、戦略転換迫られる

 ASUSは現在、マザーボード世界最大手、消費者向けノートパソコン世界3位の地位にある。ただし、同社が現在注力するスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末は、高スペック低価格でコストパフォーマンス重視の波に乗り、販売台数が急増している一方、中国メーカーと戦い続けられないと判断し昨年末から価格帯を引き上げたが、市場の評価は今ひとつという状況だ。

 工商時報は、PC市場の縮小が続き、モバイル端末の成長も鈍化する中、ASUSは今後10年の戦略を明確に打ち出せなければ、レッドオーシャン(競争の激しい既存市場)で打ちのめされ、宏碁(エイサー)のような負け組になると指摘した。

 また、ASUS財務長(CFO、最高財務責任者)だった張偉明氏(享年50)が昨年7月に自殺して以降、施董事長は公の場に姿を見せていないことから、業界関係者はそろそろ世代交代の時期だと指摘した。

【表】