ニュース その他分野 作成日:2016年4月21日_記事番号:T00063704
経済部統計処が20日発表した3月の輸出受注総額は366億2,000万米ドルで前年同月比4.7%減と、減少幅が昨年10月以降で最低となった。アップルがiPhone新機種を発売した効果で、情報通信製品の受注が改善し、電子製品はプラス成長に転換した。林麗貞統計処長は、早ければ5月に輸出受注総額がプラスに転じるとの見通しを示した。21日付蘋果日報などが報じた。
輸出受注総額は12カ月連続の前年割れで、世界金融危機当時(08年10月~09年9月)に並んだ。林統計処長は、原油価格低迷の影響が大きく、「慢性病」のようなもので、「急性病」だった金融危機当時とは事情が異なると語った。
経済部は当初、3月も10%の減少幅を予測していたが、それよりも良い結果となったことについて、製品別でいずれも減少幅が縮小したためと指摘した。情報通信製品は前年同月比2.8%減の103億米ドルで、3月としては過去2番目に高かった。モバイル端末の新製品発売で需要が伸びたが、ハイエンド携帯電話は予想ほど売れず、ノートパソコン需要は低下が続いている。
電子製品は95億8,000万米ドルで前年同月比1.6%増と、11カ月ぶりにプラスに転じた。新興市場でのロー~ミドルエンドのスマートフォン需要や、第4世代移動通信(4G)チップの需要により、ファウンドリーの受注が大幅に増えた。
精密機器は17億4,000万米ドルと前年同月比32.7%減少した。液晶パネル需要の弱まり、中国で大型パネル工場が稼働したことが影響した。林統計処長は、中国の「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」台頭に対し、台湾パネルメーカーは製品の差別化でしか立ち向かえないと指摘した。
従来型産業は原油価格反発、鉄鋼価格上昇で、機械が19億2,000万米ドルで前年同月比6.6%減と、昨年7月以来で最低の減少幅だった。プラスチック・ゴム製品は18億6,000万米ドルで3.4%減。化学品は17億6,000万米ドルで1.8%減だった。
17日の産油国会合では増産見送りの合意に達しなかったが、林統計処長は、原油価格はこれ以上下がることはないとの見方を示した。
パネル不振続く
市場別では、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国が47億4,000万米ドルで前年同月比9.2%増だった以外は、▽米国、96億9,000万米ドル(前年同月比2.2%減)▽中国・香港、89億7,000万米ドル(7.5%減)▽欧州、70億8,000万米ドル(4.1%減)▽日本、19億2,000万米ドル(26%減)──と、前年割れが続いた。
経済部は、ASEANの受注は電子製品と鉱産物が中心で、従来は米国からだった受注が移っただけで、市場の需要が増加したわけではないと分析した。中国からの受注の14カ月連続の前年割れは、中国でサプライチェーンが構築され、液晶パネルや石化製品の受注が難しくなったためで、情報通新製品や電子製品だけが頼りだと述べた。
熊本地震の影響懸念
林統計処長は、ロー~ミドルエンドのスマホ需要、IoT(モノのインターネット)の発展などで、情報通新製品、電子製品は安定した受注が見込めると指摘。ただ、世界経済の見通しが不透明な上、原油価格の変動、鉄鋼や液晶パネルの生産能力の過剰など問題が依然存在し、熊本地震のサプライチェーンへの影響も不確定要素だと指摘した。
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