ニュース 社会 作成日:2016年4月28日_記事番号:T00063865
基隆市の私設公園でこのほど、台湾に貢献した人物を称えるため「台湾英雄」の群像を設置する計画が持ち上がり、27日午前に1体目の除幕式が行われた。この銅像が誰をモチーフにしたものかについて公園側はこれまで秘密としてきたが、いざ幕が取り除かれると、そこには何と中国の温家宝前首相の姿が現れた。あまりの非常識さに台湾全土から批判が殺到し、銅像はわずか1日で撤去された。
あまり似ていなかった温家宝前首相の銅像。「中国指導者は墓場に置いておくのがふさわしい」という、皮肉を込めた「擁護論」もあった(27日=中央社)
温前首相の銅像が設置されたのは、墓苑の開発、管理を手掛ける国統開発が基隆市の山腹に造成した大規模な公園、「擁恒文創園区」。「台湾英雄」の銅像設置に当たっては、世界的企業を一代で築き上げた鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長や、長年にわたり孤児院や学校に寄付を続け、米経済誌フォーブスの「アジアの慈善家48人」に選出された野菜売りの女性、陳樹菊さんなどをモチーフとすることが検討された。
その後、公園側は話題作りのためか、1体目のモチーフについて公表することなく秘密裏に制作を進め、きのうの除幕式で初めて中国の前首相が選ばれたことが明らかとなったというわけだ。
今回の企画を手掛けた広告会社の総経理、林坤明氏は「台湾に対する愛があれば台湾の英雄だ」と強調した上で、温前首相は任期中、中台間の観光と交流を促進し、多くの就業機会を創出するなど台湾に繁栄と平和をもたらしたため、モチーフに選んだと説明した。
しかしこの銅像に対しインターネット上などでは「台湾の英雄は台湾人であるべき」、「大国に媚(こび)を売る行為だ」など相次いで批判の声が上がり、さらには林右昌基隆市長も「台湾社会の認識と落差が大きく、個人的には不適当だと考えている」と表明し、公園側に撤去を提言する事態となった。
公園側は当初、「世俗的な争いごとにはかかわらない」などとコメントしていたが、批判の声が高まったことを受けて撤去を決定。さっそく翌日には撤去されてしまい、市民の間では「最も短命な台湾の英雄だった」とやゆする声も出た。
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