ニュース 金融 作成日:2016年5月12日_記事番号:T00064090
行政院は11日、アップルペイなど海外のモバイル決済への台湾市場開放を閣議決定した。台湾人による台湾でのクレジットカード利用は台湾で精算することや、悠遊カード(イージーカード)などクレジットカード以外にも対応することなどを条件とした。今後法整備が進められ、早ければ年内にサービス開始となる見通しだ。消費の利便性を高める一方、宏達国際電子(HTC)など台湾のスマートフォンブランドが打撃を受けるとの懸念も出ている。12日付経済日報などが報じた。
張行政院長(右)は、海外モバイル決済に市場を開放することは世界的な傾向だと述べた(11日=中央社)
2014年10月に米国で始まったアップルペイは、クレジットカード情報を登録したiPhoneを店舗でかざし、指紋認証を行うことで支払いができるサービス。機密データをトークン化(TSP)するため、安全性が高いといわれている。現在アップルペイに登録できるクレジットカードは8枚まで。これまでクレジットカード以外には対応していなかったが、カナダでは今年6月にキャッシュカード対応となり、豪州も追随する予定だ。
張善政行政院長は、海外モバイル決済の台湾導入の条件として、▽台湾人による台湾でのクレジットカード利用は台湾で精算すること▽海外モバイル決済業者は台湾のクレジットカード以外(キャッシュカード、電子マネーカード、第三者支払いなど)の業者と提携し、消費者の選択肢を増やすこと──を挙げた。トークン化を行うのは台湾の業者でなくてもよいが、台湾のTSP業者が海外モバイル決済業者と提携できるよう、金融監督管理委員会(金管会)に支援を指示した。
張行政院長は、アップルペイに限らず、サムスンペイ、グーグルのアンドロイドペイなど海外モバイル決済業者との提携で、台湾のTSP業者に商機を開拓してもらいたいと語った。
金管会の王儷玲主任委員は、早ければ年末にもサービス開始が可能と見通しを示した。市場では、アップルは下半期にモバイル決済サービスを台湾で導入する計画とみられている。
銀行4行が意欲
モバイル決済サービス事業者、台湾行動支付(TWMP)の潘維忠総経理は、行政院が出した条件は税収の確保や、台湾産業界の商機創出が目的と分析した。
VISA台湾とマスターカード台湾は、既にアップルペイのトークン化サービスなど準備は万全だと表明した。
台新国際商業銀行(台新銀)は、VISAと提携し、11月にも参入したいと表明した。台新銀、中国信託商業銀行(CTBCバンク)、玉山商業銀行(Eサン・コマーシャル・バンク)、国泰世華銀行(キャセイ・ユナイテッド・バンク)の4行が金管会への申請を予定しているとみられている。
なお、台湾の個人消費のうち、クレジットカード、キャッシュカードなど電子決済の割合は26%にすぎない。
スマホ買い替えを促進
携帯電話販売業者は、アップルペイは近距離無線通信規格「NFC」に対応するiPhone6以降の機種に限られるため、スマホの買い替えが促進されると予測した。現在、台湾のiPhoneユーザーは210万~240万人とみられている。
昨年末に第三者支払いサービス「支付連」(PChomePay)を開始した網路家庭国際資訊(PCホームオンライン)の詹宏志董事長は、第三者支払い業者に対する打撃は心配していないが、HTC、華碩電脳(ASUS)、宏碁(エイサー)などのスマホは、アップルとの差別化に直面し、売れなくなると懸念を示した。
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