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メディアテックが中国地図大手に子会社売却、IoV商機に照準


ニュース 電子 作成日:2016年5月16日_記事番号:T00064141

メディアテックが中国地図大手に子会社売却、IoV商機に照準

 IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は13日、カーナビゲーション用デジタル地図で世界3位、中国最大手の北京四維図新科技(四維図新)に対し、中国安徽省合肥市の子会社、傑発科技(オートチップス)を6億米ドルで売却した後、四維図新と1億米ドル以下で合弁会社を設立するなど戦略提携を締結すると発表した。第4四半期に完了予定だ。メディアテックが強みを持つ低価格の携帯電話やパソコン用チップ市場で中国のIC設計会社が勢力を伸ばす中、カーエレクトロニクス、IoV(車のインターネット)の商機を視野に、中国企業と協力を進める。14日付経済日報などが報じた。

/date/2016/05/16/00mediatech_2.jpg顧財務長は、四維図新との戦略提携で、メディアテックの車載用市場展開を加速すると述べた(13日=中央社)

 顧大為メディアテック財務長は、傑発科技は車載情報通信システム(車載インフォテイメント、IVIシステム)向けチップを主に手掛け、中国のアフターマーケット(AM)市場でシェア5割以上を占めるが、新車装着(OEM)市場が課題だったと説明。四維図新はOEM市場が主力のため、戦略提携にメリットがあると語った。また、携帯電話は製品ライフサイクルが短い上、競争が激しく、粗利益率が押し下げられるが、自動車メーカー向けは設計から認証まで3~4年かかるものの、その後8~10年は供給できる上、粗利益率も40%以上で高いと期待感を示した。

 傑発科技は2013年設立で従業員180人。15年売上高は20億台湾元(約67億円)、利益は7億元だった。株主構成は、▽メディアテック、出資比率83%▽合肥高新科技創業投資、10%▽従業員、7%──。メディアテックによる子会社売却は初めてとなる。

中国版ウーバーも顧客候補に

 四維図新はBMW、フォルクスワーゲン(VW)、メルセデス・ベンツ、ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタ自動車、ボルボ、長城汽車などが顧客で、地図だけでなく、動的コンテンツ、クラウドサービス、車載用アプリケーション、車載用OS(基本ソフト)なども手掛ける。また、出資比率11%で2位株主の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)や、百度(バイドゥ)、「中国版ウーバー」といわれる配車サービスの滴滴出行などにもデジタル地図や動的交通情報サービスを提供している。

 四維図新は02年設立、10年に深圳証券取引所に上場。従業員は3,400人。昨年の売上高は15億人民元(約250億円)で前年比42%増だった。

 経済部は、傑発科技の売却は経済部投資審議委員会(投審会)に2カ月以内に事後報告すればよいが、四維図新との合弁会社設立は投審会の事前審査が必要と指摘した。