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高島屋が大葉高島屋から出資引き揚げ、天母の衰退反映


ニュース 商業・サービス 作成日:2016年5月18日_記事番号:T00064190

高島屋が大葉高島屋から出資引き揚げ、天母の衰退反映

 高島屋(本社・大阪市、木本茂社長)は16日、台北市の天母商圏で営業している大葉高島屋の持ち株50%を大葉開発に譲渡したと発表した。大葉高島屋は高島屋との資本関係はなくなるが、店名は変更しない。業界関係者によると、天母商圏は新光三越百貨、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)などが進出し、ピーク時は市場規模が100億台湾元(約330億円)に膨らんだが、消費者人口の縮小が進み、大手書店チェーン「誠品書店」天母忠誠店が昨年12月に閉店するなど、多くの老舗店舗が撤退している。

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 高島屋は、1992年の設立時より大葉高島屋に資本参加し、営業支援や人的支援などを行ってきたが、大葉開発との協議の結果、全株式を譲渡し、商標使用を認めるライセンス契約を締結する判断に至ったと説明した。

 大葉高島屋の資本金は12億台湾元(約40億円)。出資比率は、▽高島屋、50%▽大葉開発、42.8%▽大葉集団の羽田機械、3.7%▽その他個人、3.5%──だった。5月16日に4億9,200万元で、譲渡を完了した。高島屋の国内店舗は19店、海外店舗はシンガポール、上海の2店となった。

大規模改装で目標未達

 大葉高島屋はかつて天母商圏で唯一の百貨店として最高58億元の年間売上高を打ち立て、当時は太平洋そごう、新光三越、大立伊勢丹百貨(伊勢丹が出資を引き揚げ、08年4月よりTALEE’Sに店名変更)を合わせた4社が日系百貨店の四天王と呼ばれていた。

 大葉集団は昨年、2代目の葉喬智副董事長が董事長に就任後、高島屋と提携継続について協議していたようだ。大葉高島屋は14年に12億元を投じて大規模改装を行ったが、1年後の売上高目標50億元を達成できなかった上、高級ブランドのテナント撤退でロイヤルカスタマー(忠誠度の高い消費者)を失ったことが、合弁解消を決断させたとみられる。

 天母商圏の衰退には、景気低迷のほか、外国人や富裕層の居住者人口減少、インターネット通販の普及、商圏中心部が都市交通システム(MRT)の駅から離れているといった要因が考えられる。立地条件にも差があり、09年にオープンした太平洋そごう天母店はMRT淡水線の芝山駅前にある。MRT駅から離れているものの、新光三越の台北天母店は周囲に小規模な飲食店が集まっている。一方、天母棒球場(野球場)が隣接する大葉高島屋は住宅街の中にある。

そごう・三越・MOPが競合に

 百貨店業界では、現・統一時代百貨(ユニスタイル)が今年3月、エイチ・ツー・オーリテイリング子会社の阪急阪神百貨店との10年間の業務提携が終了し、統一阪急百貨から店名を変更した。もともと資本関係はなかった。

 現在の日系大手は、大葉高島屋の1店のほか、▽新光集団が55%、三越伊勢丹ホールディングスが45%出資する新光三越、13店▽そごう・西武からライセンス供与(商標貸与)を受けている太平洋そごう、7店▽三井不動産が70%、遠雄企業団(ファーグローリー・グループ)が30%出資するアウトレットモール「三井アウトレットパーク(MOP)台湾林口」(新北市林口区)、1店──。

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