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《蔡英文総統就任》蔡政権の経済振興策、「アジアのシリコンバレー」から着手


ニュース その他分野 作成日:2016年5月23日_記事番号:T00064269

《蔡英文総統就任》蔡政権の経済振興策、「アジアのシリコンバレー」から着手

 林全行政院長は20日の就任演説で、蔡英文総統の選挙公約、「5大創新(イノベーション)計画」を各地で始動し、民間投資を促進すると表明した。今年のGDP(域内総生産)成長率1%台を確保するため、国家発展委員会(国発会)はアジアのシリコンバレーなど5大創新計画の推進計画を2週間以内にまとめる。また、100億台湾元(約340億円)規模のファンドを創設、政府傘下に100人規模の投資貿易会社を設立し、民間投資のけん引役とする考えのようだ。23日付経済日報などが報じた。

/date/2016/05/23/00top_2.jpg林行政院長は、経済成長率1%の達成は困難だが、新政権は諦めないと強調した(20日=中央社)

 林行政院長は、台湾の低賃金、高い失業率といった問題は投資不足が主因だと指摘。政府は投資環境を改善するために、▽自由貿易協定(FTA)の締結、地域経済共同体への加盟により、台湾の国際化、市場拡大を図る▽台湾各地の地域経済の付加価値向上により、就業機会を創出し、所得を拡大、消費を活性化する▽5大創新計画の推進により、台湾各地に特色ある産業クラスターを構築し、エコシステム(ビジネスの生態系)を創出する──と語った。

TSMC、鴻海など誘致へ

 国発会の陳添枝主任委員は、5大創新計画は、▽アジアのシリコンバレー▽スマートマシン▽バイオテクノロジー▽クリーンエネルギー▽国防産業の振興──から成り、きょう23日から当面の経済振興措置を協議すると語った。陳主任委員は既に台湾の大手企業に対し、アジアのシリコンバレーへの進出を呼び掛け、前向きな回答を得ている。今後も聯発科技(メディアテック)、台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業、研華科技(アドバンテック)、中華電信などを訪問し、投資を呼び掛ける。

新1兆元産業に期待感

 アジアのシリコンバレーを主導するのは国発会の龔明鑫副主任委員で、今週から実現可能性について検討し、2週間以内に委員会に提出する予定だ。龔副院長もこれまでに米国シリコンバレーを訪問し、シスコシステムズ、IBMなどに台湾投資、ベンチャーに台湾拠点設立を呼び掛けている。

 龔副院長は、IoT(モノのインターネット)産業の商機は2020年に4兆米ドル、25年に11兆米ドルと予測されており、台湾IT産業は世界市場シェア1%以上を獲得するだけで、新たな1兆元産業が誕生すると期待感を示した。

 アジアのシリコンバレー形成に向け、桃園市政府の協力の下、台北駅と桃園国際空港など桃園市を結ぶ桃園機場捷運(桃園国際空港MRT)A19駅(桃園体育園区駅)周辺の8ヘクタール、桃園幼獅工業区の11ヘクタール、中央大学の2ヘクタールの3カ所、合計21ヘクタールを、官民提携によるIoT研究開発(R&D)の中心拠点とする。

金管会、融資支援を検討

 金融監督管理委員会(金管会)の上層部は、5大創新計画に協力するため、中小企業の信用保証制度や、新興企業やベンチャーが融資を受けるための支援など、具体的な実現方法を検討すると語った。