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《蔡英文総統就任》台湾との公式対話中断、中国が示唆


ニュース 政治 作成日:2016年5月23日_記事番号:T00064270

《蔡英文総統就任》台湾との公式対話中断、中国が示唆

 蔡英文総統による20日の就任演説で、中台関係について、「1992年の共通認識(92共識)」を順守するとの文言が盛り込まれなかったことを受け、中国は台湾との公式対話を中断することも辞さない姿勢を相次いで表明した。

/date/2016/05/23/18dialogue_2.jpg台北市の中正紀念堂で19日より「両岸書画交流展」が開催されているが、中国、香港、マカオの書画家は、手続きの遅れを理由に全員訪台を見合わせた(22日=中央社)

 中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は21日、台湾の行政院大陸委員会(陸委会)との交流について、「一つの中国を体現する『92共識』という共通の政治的基礎を確認、堅持しなければ、両部門の連絡、意思疎通体制は存続できない」とする立場を表明した。

 国民党政権下で、陸委会と国台弁は幹部級による会合、ホットライン開設などを通じて中台間の懸案を協議してきたが、今後はそうした交流がストップする可能性が濃厚となった。

 中国の対台湾窓口機関である海峡両岸関係協会(海協会)も同様に、台湾側の海峡交流基金会(海基会)が海協会側に「92共識」の堅持を確認しない限り、交渉や連絡体制を維持することはできないと強調した。

経済分野の交渉も停止か

 いずれも蔡総統が就任演説で「92共識」に言及しなかったことに対し、中国側が不満を表明した動きだが、中国側のここまでの反応はある程度織り込み済みと言える。

 ただ、今後は中台間での物品貿易協定交渉がストップすることは避けられないほか、海協会と海基会が2008年以降結んだ23項目の協定に基づき発足させた航空、海運、観光など各経済分野での交渉体制(通称・小両会)も当面機能しない事態が予想される。

 22日付中国時報によると、中国・清華大学台湾研究院の巫永平副院長は「海協会と海基会が署名した23項目の協定合意がストップするのは正常な範囲で、意外なこととは言えない」と指摘した。

 国台弁の王在希元副主任は21日、「両岸の民間交流規模は縮小する可能性が高く、レベルも格下げされる。中国人客の台湾訪問も減り、地方政府や中央官庁の官僚による台湾訪問も減るのは確実だ」と述べた。

産業界に悲観広がる

 台湾産業界は中国側の対応をある程度予想はしていたが、戸惑いは隠せない。中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は「(民進党)政権が速やかに対岸(中国)が受け入れ可能な対策を打ち出すか、双方が受け入れ可能な均衡点を見いだせない限り、サービス・物品貿易協定に望みはなく、両岸(中台)の経済協力会議(経合会)も開催されなくなるだろう」と悲観的な見通しを示した。

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は「両岸関係は断つといってすぐに断てるものではないが、3~6カ月の間に(台湾)政府が具体的な対策を打ち出せなければ、両岸交流が全面的にストップするのは避けられない」と分析した。