ニュース 電子 作成日:2016年5月26日_記事番号:T00064349
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)と矽品精密工業(SPIL)は26日までに、持ち株会社を新設し、両社がその傘下に入ることで最終合意した。9カ月続いたSPIL経営権争いにやっと決着がついた形で、26日中にも発表する。市場シェアが合計29.2%に上る世界首位と3位の経営統合で、研究開発(R&D)費用を大幅に引き下げるなどして競争力を高め、中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)を迎え撃つ。26日付蘋果日報などが報じた。
両社は持ち株会社の傘下で、独立性を保ちつつ、重複した投資を行わずに済み、研究開発リソースの統合や特許の共有が可能になる。価格競争を回避し、生産能力を融通し合うこともでき、ウインウインだ。ただ、顧客が重複しているため、受注が流出する懸念も指摘されている。
今後、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が市場の寡占化などについて、企業結合審査を行う見通しだ。
SiP受注の可能性も
持ち株会社設立の背景には、世界の半導体業界でM&A(合併・買収)が進む中、中国の半導体封止・検査最大手、江蘇長電科技が政府の支援の下、シンガポールの同業スタッツ・チップパックを買収し、ASEやSPILの受注を奪い始めていることがある。また、アップルがスマートフォン、iPhoneにシステム・イン・パッケージ(SiP)技術を採用し、携帯電話メーカーの追随が進む中、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がSiP封止の受注を狙っており、ASEとSPILも協力し合えば、SiP受注を獲得できる可能性がある。
半導体業界は近年、3~5%の小幅成長にとどまっているが、早くからスマホやタブレット端末などモバイル端末の商機を得た企業は業界平均を上回る成長を実現している。両社は今後IoT(モノのインターネット)、ウエアラブル(装着型)端末、スマート家電、車載用無線通信システムなどの商機をつかめば、収益力の大幅改善が見込めそうだ。
サプライチェーンも歓迎
経済日報によると、両社共通の大口顧客であるIC設計最大手の聯発科技(メディアテック)などが場を設け、ASEの張虔生董事長、呉田玉営運長、SPILの林文伯(バウ・リン)董事長、蔡祺文総経理は先月中旬、初めて会談した。大口顧客やサプライチェーンが両社の協力を望んでいることから、SPILが折れたという。
ASEが昨年8月にSPIL株式公開買付(TOB)を発表して以降、SPILは敵対的買収だと反発して、鴻海精密工業や中国の国有半導体大手、紫光集団からの出資受け入れを計画するなど、必死で抵抗してきた。
業界関係者は、ASEが誠意を示し続けてきた中、SPIL経営陣は募る疲労や従業員の不安を考えて、態度を軟化させたのではないかと話した。ASEは今やSPIL株式の33.28%を保有している上、外国人投資家の大部分がASEを支持しており、もはやSPILに選択肢は残されていないとの指摘も聞かれた。
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