ニュース 電子 作成日:2016年6月3日_記事番号:T00064513
宏碁(エイサー)の陳俊聖(ジェイソン・チェン)執行長は2日、本業のパソコン以外に、10月に家庭用ロボット出荷を開始するほか、▽バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)▽高齢者▽スポーツ──を含む4分野を開拓すると述べた。同社は6月末に持ち株会社化し、組織改編を行う予定だ。2009年にデルを抜き、一時は世界2位に登り詰めたエイサーだが、低迷が続くノートPC市場で競争に敗れ、ニッチ市場の選択を迫られている。3日付経済日報などが報じた。
陳執行長は、VR対応の映画撮影に2~3年はかかるので、今年下半期はまだVR商機は盛り上がらないと予測した(2日=中央社)
陳執行長は同日、エイサー本社でのメディアのインタビューで、今後の方針を示した。「721法則」と題し、リソースの70%をPC分野に投じ、残り20%を鍵となる複数の重点分野に投入、10%を将来を見据えた開発に投資すると述べた。
陳執行長は、既に3つのブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)を見つけ、現在の組織構成では新事業に十分対応できないとスピンオフ(分離・独立)の理由を説明した上で、それでもエイサーは一つだと強調した。
エイサーから2日に通知を受けた取引先によると、同社は6月末までに持ち株会社化し、スピンオフしたPCとクラウド事業を傘下に収める計画だ。
ロボット発売、ASUSに先行
陳執行長は、10月に家庭用ロボット「Jibo(ジーボ)」の出荷を開始すると表明した。まず米国で発売する。予約販売価格は749米ドル。当面は売上高に大きくは貢献しないとの見方だ。
「Jibo」は、写真を撮ったり、お話を読み聞かせたり、音声操作で照明の電源を入れたりできる家庭用パートナーロボットだ。ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」(本体価格19万8000円)や、華碩電脳(ASUS)が先日発表した「Zenbo(ゼンボ)」(599米ドル)のような自立走行はできない。
エイサーは昨年9月に「Jibo」を開発するマサチューセッツ工科大学(MIT)主導のスタートアップ企業、Jibo,Inc.に出資している。
VR、IMAX向け供給へ
エイサーは先月、スウェーデンのゲーム開発大手、スターブリーズスタジオと、同社のVR対応ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ、HMD)「StarVR」の設計、製造、販売を行う合弁会社を設立することで提携同意書を取り交わしている。続いてカナダのIMAX(アイマックス)が5月下旬に「StarVR」の採用を発表した。IMAXは今年ロサンゼルスを皮切りに、世界6カ所にVR体験センターを開設する計画だ。
これについて陳執行長は、エイサーが世界68カ国・地域のIMAXシアターに「StarVR」やサーバー、演算装置を供給できることを意味すると説明した。年内に「StarVR」の出荷を開始し、来年から出荷量を増やす。長期目標として、コストを引き下げ、消費者向けにも参入する。
サイクルコンピューター、7月出荷
エイサーは3月末に、高齢者向けにカスタムメイドしたタブレット端末とサービスを提供するグランドパッドに投資している。高齢者の在宅介護サービスの米国最大手、コンフォート・キーパーとも提携意向書(LOI)を交わした。陳執行長は、両社と提携して高齢者向けにハード・ソフト・クラウド一体サービス「智雲体」を提供し、今秋に欧州にも進出すると表明した。世界の高齢者向け長期介護サービス市場規模は7兆米ドルと見込んでいる。
また同社は昨年、台湾の全地球測位システム(GPS)サイクルコンピューターメーカー、愛普瑞(エクスプローヴァ)に出資している。陳執行長は、4月にニューヨークで発表し、好評だったサイクルコンピューター「エクスプローヴァX5」を7月に出荷すると語った。9月には欧州、年内に日本、香港、タイ、フィリピン、マレーシアで発売する。スポーツ市場の商機は1,500億米ドルに上る。
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