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桃園と宜蘭、同地名の多さに歴史的背景も


ニュース 社会 作成日:2016年6月4日_記事番号:T00064557

桃園と宜蘭、同地名の多さに歴史的背景も

 桃園市と宜蘭県には大渓、龍潭、亀山、月眉など、他の県市に比べ、同じ地名が多く存在する。これは地名の由来となった地形や伝承、文化などが偶然、似通っていたという原因のほか、18世紀から19世紀にかけて起きた、桃園から宜蘭への客家の移住とも関係しているようだ。

 桃園市亀山区と宜蘭県沿岸に浮かぶ亀山島は、どちらも「亀」に似た地形だったことからこの名が付けられたとされる。また両県市には「大渓」という地名が存在するが、現在の桃園市大渓区はもともと原住民タイヤル族の言語に由来する「大姑陥」という名で呼ばれていたが、日本統治時代に近くを流れる河川、大漢渓にちなんで改称された。一方、宜蘭県頭城鎮の大渓里も地元の河川、大渓川の河口部に位置することからその名が付けられた。

 ただ桃園市と宜蘭県で同じ地名が多いことについて中央大学客家学院客家語研究所の研究生、荘沛祺氏は、18世紀半ば~19世紀にかけて続いた、福建から台湾へ移り住んだ閩南民系、広東を出自とする持つ客家、および潮州民系といった漢民族の族群(エスニックグループ)同士の衝突のあおりを受けて多くの客家人が桃園から宜蘭へ移住したことにも関係が深いと指摘する。客家人たちは自らのルーツを忘れないよう、移住先でも元の地名を使用したのだという。

 なお台湾では、▽公館▽仁愛▽信義▽和平▽大同▽埔心▽三民▽復興▽崁頂▽東勢▽茄苳▽富岡──といった地名は2県市以上に重複して存在するため、住所などを調べる際には注意が必要だ。

 特に「富岡」は、一方は桃園市楊梅区にある台湾鉄路(台鉄)駅の名前に、もう一方は台東市の漁港名に使用されている。遠く離れているため混同する方はいないと思われるが、待ち合わせに利用する場合は一応ご用心を。