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家庭用ロボットの市場競争、台湾供給網に新商機


ニュース 電子 作成日:2016年6月6日_記事番号:T00064563

家庭用ロボットの市場競争、台湾供給網に新商機

 鴻海科技集団(フォックスコン)副総裁を務める通信キャリア、亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)の呂芳銘董事長は5日、ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」を第3四半期に台湾の小売り、金融、教育、健康など企業向けに、来年は消費者向けに発売すると表明した。一方、華碩電脳(ASUS)の「Zenbo(ゼンボ)」は既に試験生産を開始しており、来年の出荷台数は300万台と予想されている。サービスロボット(SR)対決の勃発は、台湾のサプライチェーンに新たな商機をもたらしそうだ。6日付経済日報などが報じた。

/date/2016/06/06/00pepper_2.jpg呂董事長(左)。ペッパー設置について、既にコンビニエンスストアから引き合いがあるという(5日=中央社)

 呂董事長は、アップルが2007年に発売した初代iPhoneがその後10年のスマートフォン市場をリードしたように、鴻海精密工業が共同開発したソフトバンクのペッパーは、関節、軸受け、音声認識、カメラレンズ、センサーなど電子部品の新たな応用先になると指摘した。

 ペッパーの台湾販売では、亜太電信がマーケティングを行い、鴻海が5月に1億台湾元(約3億3,000万円)を投じて設立した沛博科技がペッパーの総代理店として、クラウドプラットフォームやメンテナンスを主に担う。沛博科技は将来、シャープのロボットとスマホが合体した「ロボホン」を扱う可能性もある。

 呂董事長は、ASUSのZenbo(599米ドル)はペッパー(本体価格19万8,000円)より安いが、値段相応だと指摘。ただ、多くの企業が参入すれば、共に市場を拡大できると歓迎意向を示し、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)もロボットを作っていると明かした。

 鴻海は同日、IBMなどと共同開催で「ペッパー・アプリケーション開発コンテスト」のエントリー受付を開始した。9月3日の最終選考で選抜された開発チームには賞金130万元などが与えられる。IBMは、将来ロボットが代替する就業機会は500万件以上と予測した。

Zenbo、ペガトロンが受注

 ASUSのサプライヤーによると、ASUSは現在Zenboの試験生産の最中で、組み立ては和碩聯合科技(ペガトロン)が担う。海外メディアは鴻海と予測していた。当初は英語バージョンで、英語圏で発売されるとみられている。Zenboはペッパーと同じく、インテルのプロセッサー、Atom(アトム)を搭載し、インテルリアルレンズ3Dカメラで人の顔や手の動きを認識し、カメラ撮影を行うことができるようだ。ASUSは、量産時期などノーコメントだ。

20年まで平均28%成長

 ASUSのZenboは、台北国際電脳展覧会(コンピューテックス台北、5月31日~6月4日)の話題をさらった。市場調査会社の予測によると、サービスロボットの市場規模は20年に492億米ドル。14年からの年平均成長率(CAGR)は28%と、産業用ロボットの12%を大きく上回る見通しだ。

 ペッパー、Zenbo、宏碁(エイサー)の「Jibo(ジーボ)」のほか、コンパル傘下の華宝通訊(コンパル・コミュニケーションズ、CCI)もロボットを発売するとみられ、コンパルはノートPC以外の売上構成比が35%まで高まる見通しだ。このほか、新光保全(SKS)は「新保6S」に続き、2月に監視機能付き小型ロボット「新保宝シンボビーノ」の試験販売を開始し、3,000台の販売を目指している。微星科技(マイクロスター・インターナショナル、MSI)はお掃除ロボットを受託生産している。

 ロボット部品は、▽研華科技(アドバンテック)、コントローラー▽美律実業(メリー・エレクトロニクス)、電気音響部品▽原相科技(ピクスアート・イメージング)、センサー▽上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)、減速機やサーボモーター──などが注目されている。