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保護対象のアオウミガメ、澎湖の消防士が食用に解体


ニュース 社会 作成日:2016年6月8日_記事番号:T00064635

保護対象のアオウミガメ、澎湖の消防士が食用に解体

 澎湖県の吉貝島でこのほど、消防士が保護対象となっているアオウミガメを材料に漢方料理を作って食べようとしていたことが発覚。インターネット上で激しい非難を浴びた上、警察に取り調べを受けることとなった。

/date/2016/06/08/19umigame_2.jpg澎湖のカメの産卵場所。台湾各地では95年よりアオウミガメ産卵生息保護区が設定されている(7日=中央社)

 警察の調べによると、アオウミガメの産卵地となっていることから「ウミガメの故郷」と呼ばれる澎湖県の北に位置する吉貝島にある消防分署で小隊長を務める王明賢容疑者は、膝に故障を抱えていたことからウミガメの甲羅と鹿の角を使った漢方料理「亀鹿二仙膠」を作って食べようと、漢方に詳しい同僚の陳福栄容疑者に相談。同容疑者が地元の漁師、胡振哲容疑者に1匹3,000台湾元でアオウミガメを捕獲して消防署に届けるよう依頼した。

 そして今月2日午後、胡容疑者がウミガメ2匹を捕獲して手足を解体して冷凍した上で消防署に届けた。受け取った王容疑者と陳容疑者、さらに当日勤務に当たっていた程栄俊容疑者の3人は、ウミガメをさらに細かく切った上で十分に解凍するため敷地内の空き地で板の上に放置した。

 しかし近くを通りかかった人物がこの場面に出くわし、写真を撮って同日夜にネット掲示板に「カメっておいしいの?」のコメントとともに画像をアップロードしたところ、大きな議論を巻き起こした。さらに画像に写ったダンボール箱に「消防局」の文字があったことなどから、「現場」が吉貝島分署であることが特定され、3人の消防士と漁師1人は翌日、地元検察署で取り調べを受けることとなった。

 王容疑者と程容疑者は容疑を否認しているものの、陳容疑者と漁師の胡容疑者は犯行を認めており、起訴されて有罪判決が下れば最高で5年の懲役および20万~100万元の罰金が科せられる見通しだ。

 なお地元のベテラン漁師によると、澎湖ではかつて、ウミガメは重要な食料だったが、1989年にアカウミガメが保護対象となってからは食べたという話はほとんど聞かなくなり、一部地域で私的な習慣として残っているだけだという。

 ある地元漁師は今回の事件について「消防士たちはウミガメを食べても何も言われなかった時代に生きていると勘違いしたんだろう。今の若者は正義感が強くて環境保護意識が高いから、間違ったことが見つかるとネットでさらし者になる」と語った。