ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2016年6月15日_記事番号:T00064697
台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、ベトナム・ハティン省の大型製鉄所で25日に予定していた第1高炉の火入れが延期となる見通しだ。2年前のベトナム反中デモの際の破壊行為や、工場作業員の減少によって、進度が遅れているためだ。さらに現地当局から排水監視システム設置や税金7,000万米ドルの返還を求められているようだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド投資を推進する蔡英文政権の「新南向政策」に対し、台商(海外で事業展開する台湾系企業の総称)は、台湾政府の支援が必要と訴えている。15日付経済日報などが報じた。
ベトナム・ハティン省の大型製鉄所を運営するフォルモサ・ハティン・スチール(台塑河静鋼鉄興業、FHS)は、25日の高炉火入れに全力を尽くしているが、竣工作業の申請手続き中で、ベトナム当局の立入検査が必要なため、困難な見通しと説明した。税金7,000万米ドルの返還についてはノーコメントとした。
消息筋によると、FHSは法律に従い税金還付請求手続きを行い、入金を受けたが、最近ベトナムの税務担当者が返還を求めてきた。FHSの株主構成は▽台プラグループ、70%▽中国鋼鉄(CSC)、25%▽JFEスチール、5%──で、出資比率に応じて税金を負担しなければならない。
またFHSは、今年4月に起きた沿海の魚の大量死で、同所の排水が原因と疑われた。調査で証拠は見つからなかったものの、ベトナム市民が何度も街頭デモを繰り広げたことから、先週、排水監視システムの設置を当局から命じられた。設置するまで操業が認められない。
台商、投資リスクに懸念
FHSに対する税金返還要求について、新南向政策弁公室の黄志芳主任は、状況を確認中で、コメントできないと述べた。
台商は、ベトナムはASEAN主要国の中で台湾にとって最も有望な投資先で、新政権の新南向政策推進に伴い、さらに多くの台湾企業による産業クラスター形成が期待されていると説明。ただベトナムなど東南アジアは、依然警察が路上で賄賂を受け取るような状況だと指摘した。台湾政府に対し、東南アジア投資を呼び掛けるのなら、リスクを明確にし、台商の権益を保障してほしいと訴えた。
CSCはベトナムでFHSのほか、新日鉄住金などとCSVC(中国語名・中鋼住金越南)に投資している。CSVCは13年に営業運転を開始したが、昨年12月に初めて単月で営業黒字化を達成したところだ。
CSCはインドにも投資しているが、関税5%で合意したはずが、現地当局によって関税10%に引き上げられ、いまだ赤字が続いている。インドネシアは行政の効率性が悪く、タイは政局が不安定だ。
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