ニュース 社会 作成日:2016年6月16日_記事番号:T00064742
きょう16日は台北と宜蘭を結ぶ北宜高速公路(国道5号)の雪山トンネル開通からちょうど10週年に当たる。同トンネルの開通により台北から車で1時間前後の近さとなった宜蘭では、観光業を中心に巨大な経済効果の恩恵を受けた。しかし、最近では観光客の数も減少に転じており、地元では新たな観光の目玉が必要と危機感を募らせている。
宜蘭県では民宿開業も大幅に増え、農地の中で鮮やかな建物を目にすることも多い(16日=中央社)
全長12.9キロメートルの長さを誇る雪山トンネルが開通したことで、風光明媚で地元グルメも豊富な宜蘭には台北から大勢の観光客が押し寄せるようになり、羅東夜市(ナイトマーケット)や礁渓温泉といった人気の観光スポットは休日になると人であふれ、「地元だけが知るおいしい料理」などとインターネットで話題となったレストランや小吃(軽食)店には長い行列ができた。
同県ではホテル・飲食業の年間売上高が開通年に当たる2006年の約50億台湾元から14年には955億2,000万元へと19倍に成長。民宿やレストランの数も2,201軒から1万1,358軒(15年)と10年間で5倍に増えた。
また雪山トンネルの開通は、宜蘭から台北への通勤を可能にし、一般の宜蘭県民の生活にも変化をもたらした。台北市の学習塾に勤める女性はもともとは台北に月1万元で部屋を借りて住んでいたが、トンネルができたため地元に帰って家を購入。「台北での家賃と住宅ローンの返済額はほぼ同じだけれど、家は自分のものになる。雪山トンネルは私の人生を変えた。トンネルがなければ今でも借家暮らしだった」と語っている。
ただ一方で、雪山トンネルでは慢性的な渋滞が発生しており、特に昨年の元日に起きた大渋滞が大きく報じられて以降、旅行者が宜蘭県を避ける傾向も生じている。
データにもそれが表れており、ホテル・飲食業の昨年売上高は905億5,000万元へと、前年から5%減少。宜蘭県が管轄する観光レジャーエリアを訪れた観光客数も前年の延べ786万人から昨年は延べ693万人へと約12%減少した。
今年はさらに状況が悪化しており、ある民宿経営者は「夏休みの予約は目も当てられない。重症急性呼吸器症候群(SARS)の時よりひどい」と嘆いている。
ただ一方で「団体客が減り、個人旅行の外国人が増え、観光客の質が良くなった」「地元の人間は(混雑するため)休日に夜市行こうなんて思わなかったが、最近では人が少なくなった」とブームが去ったことを歓迎する声も上がっている。
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