ニュース 電子 作成日:2016年6月17日_記事番号:T00064756
半導体の電子ビーム式検査装置最大手、漢微測科技(エルメス・マイクロビジョン、HMI)は16日、オランダの半導体露光装置大手、ASMLが同社を買収すると発表した。ASMLが第4四半期までに総額1,000億台湾元(約3,200億円)で全株式を取得し、エルメスは完全子会社となる。これによりエルメスは台湾でハイエンド装置を生産することになり、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、サムスン電子やインテル、中国勢の「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」との競争が有利になりそうだ。17日付経済日報などが報じた。
許エルメス董事長。ASMLとは従来から提携関係にあり、わずか2~3カ月の協議で買収が決定したようだ(16日=中央社)
許金栄エルメス董事長は、8月3日に臨時株主総会を開催する予定で、株式の48%を保有している漢民科技(エルメス・エピテック)グループなど大株主、経営陣は買収を支持していると述べた。台湾の従業員350人の雇用を継続し、さらにハイエンドの電子ビーム式検査装置を開発すると説明した。なお、エルメスは電子ビーム式検査装置の世界市場シェア80%を誇る。
ASMLは、両社の技術の相互補完によって顧客の製造プロセスを大幅に強化し、歩留まり率を向上させられると期待感を示した。
ムーアの法則に挑戦
ASMLが開発する極端紫外線(EUV)露光装置は、「ムーアの法則(半導体の集積密度は18~24カ月で倍増する)」の救世主と言われており、TSMC、サムスン、インテルなど半導体大手はいずれもASMLに出資。EUV露光技術を製造プロセス10ナノメートルか7ナノで採用するとみられている。
これまでASML、アプライドマテリアルズ、KLAテンコールなど半導体装置大手の台湾拠点は技術サービスが中心だった。ASML傘下となるエルメスが今後、ハイエンド製品を台湾で研究開発(R&D)、製造することで、TSMCなどに有利に働きそうだ。また、ASMLの受託生産を手掛ける帆宣系統科技(マーケテック・インターナショナル)や、部品を供給する信邦電子などが恩恵を受けそうだ。
過去最高の買収額
ASMLはエルメス株を1株1,410元で取得し、台湾上場・店頭公開企業の1株当たりの買収額で過去最高となる。プレミアム(上乗せ)はエルメス株の直近30日の平均株価と比べると約3割、15日の終値と比べると16.5%に上る。株価を昨年1株当たり純利益(EPS)で割ったPER(株価収益率)は43倍以上だ。
また、台湾の半導体業界のM&A(合併・買収)で、▽米マイクロン・テクノロジーの華亜科技(イノテラ・メモリーズ)買収▽日月光半導体製造(ASE)の矽品精密工業(SPIL)経営統合▽聯発科技(メディアテック)の晨星半導体(Mスター・セミコンダクター)買収──に次ぐ4番目の規模となる。
今後、台湾の公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)、経済部投資審議委員会(投審会)、シンガポール、韓国の競争当局の審査を受ける。
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