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プロ野球の義大ライノズ、身売りへ


ニュース その他分野 作成日:2016年6月17日_記事番号:T00064766

プロ野球の義大ライノズ、身売りへ

 台湾プロ野球リーグ、中華職棒球大聯盟(CPBL)の義大ライノズは16日、野球を愛し、プロ野球に参入意欲を持つ企業に球団経営を譲渡する方向で交渉を進めると発表した。台湾プロ野球は八百長事件が相次いだことで人気が低迷、現在4チーム体制に規模が縮小しており、依然身売りが止まらない状況に球界関係者はため息をついている。

/date/2016/06/17/19Rhinos_2.jpgCPBLの呉志楊会長からマスコミへ説明が行われた(16日=中央社)

 ライノズは2012年、3年前に発覚した大規模な八百長事件の影響が残る中、経営難に苦しむ興農ブルズを鉄鋼業界の民間最大手、義聯集団(Eユナイテッド・グループ)が買収して誕生した。

 参入初年度の13年シーズン、ライノズは米メジャーリーグのレッドソックスなどで活躍したスター選手、マニー・ラミレス外野手を獲得。台湾プロ野球史上最高の大物助っ人を見ようと大勢の野球ファンが球場に足を運び、ライノズだけでなく球界全体の観客動員増に貢献した。さらにラミレス選手は試合でも好成績を残し、チームはいきなり前期優勝を果たした。

 ラミレスが惜しまれつつ6月にチームを去った後、後期は優勝を統一セブン-イレブン・ライオンズに譲り、年間チャンピオンを決める台湾シリーズにも敗れはしたが、同年台湾で開催されたアジアシリーズにも出場し、日本代表の楽天イーグルスと熱戦を繰り広げた。

 球団はその後も毎年1億台湾元を超える資金を投入して戦力の強化と観客動員に全力を挙げてきたが、これまで一度も優勝を経験できず、観客動員も伸び悩んでいた。

 今シーズンも昨年の本塁打王、高国輝外野手や、胡金龍外野手、林哲瑄外野手、倪福徳投手と3人の元メジャーリーガーを擁し、十分な戦力をそろえたが、ここ12試合で1勝11敗と低迷が続いており、これに親会社、義聯集団の経営不振が加わって身売り決定に至ったようだ。

 ただ、義聯集団の林家正・執行副総経理は「現在特定の企業と交渉は行っていないが、適当な売却先が見つからなかった場合は当グループが球団経営を継続する」と語っており、3チーム体制に縮小する危機は当面、避けられそうだ。

 球団の身売り表明を受けて選手会長の胡金龍選手は「球団経営には大きなプレッシャーがあり、責めてばかりはいられない。誰もこんな事態は望んでいないのだから」と理解を示した上で、「選手は自分の役割を果たすだけ」と語った。

 これで選手たちが一念発起して優勝を成し遂げ、観客が増えて球団が身売りを思い直すというストーリーとなればドラマチックなのだが。