郷林建設、達欣工程など域内建設会社のベトナム市場進出の動きが加速している。中国で労働合同法(労働契約法)が施行されたことなどにより、中国に展開していた台湾企業のベトナム進出が活発化していることに加え、域内市場では鉄鋼材料の価格上昇などにより建設工事発注量や利益が縮小していることから、建設業界でもベトナムに市場がシフトしつつあるようだ。業界の統計によると、ベトナムでの商機は1年当たり100億台湾元(約326億円)の見込みだ。31日付工商時報が報じた。
各社が子会社設立で本腰
最も動きが早いのは郷林建設で、魏嘉銘同社総経理によると、来年は50~60億を投じて、ホテル、オフィスビルを建設する計画だ。ホテルは販売、オフィスは賃貸方式で売上高を伸ばしていきたい考えだ。
達欣工程はベトナム進出に向け、1,500万米ドルを投じ、英領のケイマン諸島に「達欣国際持株会社」を設立した上で、資本金1,500万米ドルのシンガポール子会社を設立する予定だ。
徳昌営造は1億元を投じ、シンガポールに100%出資の子会社を設立する計画だ。詹中亮同社スポークスパーソンによると、域内の公共工事の発注量は縮小しており、鉄鋼など原料価格の高騰で粗利益も減少している。そのため、海外市場での利益拡大を狙い、今年中にベトナムに拠点を確立する考えだ。
大陸工程(コンチネンタル・エンジニアリング)と工信工程(KSECO)はベトナムに事務所を設立した。既に駐在員を派遣し、現地情報の収集を開始している。大陸工程の陳勇発協理によると、同社は1993年にもベトナムハノイ市で道路建設を行った。今後時期が熟せば子会社を設立し、同地での公共事業、不動産開発、住宅地開発に乗り出すという。
公共工事による損失拡大も要因
建材価格が値上がりを続け、公共事業を手掛ける建設会社の損失が拡大している。行政院公共工程委員会は当初、総額約80億元の補助金を支給するとしていたが、総統選挙での政権交代から、この支援策を撤回した。
建設業界団体の中華民国営造公会の陳煌銘理事長によると、新しい案の補助金は、損失額の2割に当たる20億元強に過ぎないという。陳理事長は「政府が政権交代を理由に引き延ばしを行い、建設業を支援しないのなら、ストライキや街頭デモを実施するしかない」と語り、今週開催が予定されている理事会では、ストやデモに加え、建設業者に対し海外進出を更に推進することなども協議するとみられる。