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鴻海がシャープ再建に総力、「3年で日本人に経営戻す」


ニュース 電子 作成日:2016年6月23日_記事番号:T00064854

鴻海がシャープ再建に総力、「3年で日本人に経営戻す」

 鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は22日の株主総会で、7月1日までにシャープの買収手続きを完了すると表明し、シャープ再建に向け▽保有特許の商品化▽海外事業の整理▽人事評価制度の見直し──を進めると語った。世界全体で従業員7,000人を解雇するなど徹底的なコストカットで日本的経営にメスを入れる。一方、郭董事長は、これは自身にとって2度目の起業であり、成功するまで引退しないと宣言。早ければ3年で経営体質を改善して、経営権を日本人の手に戻すと述べ、日本側の不安払拭に務めた。23日付経済日報などが報じた。

/date/2016/06/23/00top_2.jpg郭董事長。モバイル型ロボット電話「ロボホン」、電気無水鍋「ヘルシオホットクック」、液晶テレビ「アクオス」などが展示され、シャープ重視の姿勢をうかがわせた(22日=中央社)​

 シャープ再建計画として郭董事長はまず、特許の技術化、商品化により、研究開発(R&D)期間を大幅に短縮し、生産コストを引き下げると説明した。シャープは数多くの特許や技術を保有しているが、商品化の方法が分かっておらず、これは鴻海の得意分野だと述べた。

 2点目として、海外の販売代理店や合弁事業を整理し、事業費を減らすと述べた。シャープは人情味が厚い会社で、海外の現地企業と合弁会社を設立したり、退職した社員を受け入れたりしていたが、これではコストがかかり過ぎると指摘した。台湾でシャープ製品の販売を過去50年以上担ってきた声宝(サンポ)と合弁の夏宝は既に解散・清算が決まっている。今後、香港やマレーシアでも同様の決定を行う。

 次期シャープ社長の戴正呉・鴻海副総裁は、シャープの弱点は海外での販売で、特に中国の赤字がひどいと語った。今後、深圳市に海外本部を設立する考えを示した。

 郭董事長は3点目として、個人の人事評価制度を導入すると述べた。シャープは従来、チームのパフォーマンスを求めていたが、これでは馴れ合いになりやすいと指摘した。また、シャープの人材が競合に流出しているとの市場観測については、「悪い卵しか産まないニワトリはどこにいっても良い卵を産めない」と、排除すべきは排除する考えを示した。なお、戴副総裁は記者団に対し、シャープの従業員7,000人を削減する可能性を認めた。

 郭董事長はさらに、早ければ3年、遅くとも6年で経営を改善し、マネジメントを日本人に返すとシャープ幹部に伝えてあると語った。戴副総裁をはじめ鴻海幹部は台湾に家族がいるので、日本人の次の世代を育成すると話した。

低価格受注に決別宣言

 郭董事長は、世界景気の変動が激しく、一つの市場だけに頼っていては成長できないので、シャープへの戦略投資のほか、インドや、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の開拓を3年前から進めていると述べた。

 郭董事長は、▽クラウド▽モバイル▽IoT(モノのインターネット)▽ビッグデータ▽スマート化▽インターネット──の「雲移物大智網」にロボットを加えた発展戦略の下、スマートハウス、スマートオフィス、スマートファクトリーなどの分野を開拓し、今年は増収を追求するだけでなく、低価格で受注を取ることはせずに増益を目指すと表明した。さらに、鴻海の株価が200台湾元(約650円)台を回復するまで、引退しないと表明した。