ニュース 電子 作成日:2016年7月6日_記事番号:T00065087
経済部が5日発表した統計によると、液晶パネルと部品産業の2015年生産額は前年比13.5%減の9,533億台湾元(約3兆円)で、1兆元を割り込んだ。世界経済の成長鈍化、スマートフォンやタブレット端末など最終製品の需要低迷のほか、中国政府が地場パネルメーカーによる「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」構築を強化し、台湾パネルメーカーの対中輸出が3割以上減少したことが響いた。6日付聯合報などが報じた。
台湾政府はパネル産業を半導体とともに「両兆双星(2つの1兆元産業)」として育成してきたが、世界金融危機の影響を受けた09年の9,308億元(前年比11.6%減)の後、6年ぶりに1兆元を割り込んだ。
今年1~4月のパネル産業の生産額も2,335億元で前年同期比31.9%減少した。内訳は▽10インチ以上の大型パネル、1,315億元(前年同期比38.9%減)▽10インチ未満の中小型パネル、339億元(32.2%減)▽カラーフィルター(CF)、342億元(9%減)▽ガラス基板、224億元(2.8%減)▽バックライトモジュール(BLM)、38億元(48.4%減)──。約6割を占める大型パネル生産額の減少は、ノートパソコン、液晶モニターの需要低迷に加え、2月6日に発生した台湾南部地震で、生産が滞ったことが主因だ。
中国向けパネル輸出、3割減
昨年のパネル輸出額は前年比35.9%減の85億9,700万米ドル。今年1~5月のパネル輸出額は前年同期比28.4%減の27億5,400万米ドルで、うち78%を占める中国向け輸出額が21億7,000万米ドルと32.1%減少、香港向け輸出額も3億2,400万米ドルと18.8%減少した。台湾メーカーは従来、パネルを中国に輸出し、中国でモジュールを組み立てていたが、中国メーカーが続々と生産ラインを稼働させたため輸出額が大幅に減少した。経済部は、紅色供給網の打撃を緩和するために、台湾のパネルメーカーは高付加価値化、差別化を強化しなければならないと指摘した。
パネル輸出額は上位から中国、韓国、台湾、日本の順で、今年1~5月の輸出額は▽中国、108億8,800万米ドル(前年同期比15.8%減)▽韓国、62億5,300万米ドル(34.3%減)▽日本、14億800万米ドル(33.8%減)──だった。軒並み大幅減少で、今年上半期のパネル景気低迷がうかがえる。
台湾大手2社、有機ELに全力
今年のパネル価格は、年初は低かったが、第3四半期から上昇。群創光電(イノラックス)、友達光電(AUO)は供給不足状態の下、フル稼働となっている。
イノラックスの王志超董事長は、昨年は年初に見通しを楽観していたが、第3四半期に景気が急激に悪化した一方、今年は年初に悲観していたが、予想以上に早く回復したと語った。テレビのサイズ拡大、販路の在庫水準低下、価格上昇を受けた川下の調達意欲向上が理由と分析した。AUOの彭双浪(ポール・ポン)董事長は、同社は受注が満杯で、今年は業績が良くなる一方だと語った。
市場観測で、アップルが次世代iPhone8でアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルを全面採用するほか、サムスン電子が液晶パネル生産から撤退し、有機EL(OLED)パネルに集中するとの見方が浮上する中、イノラックスの王董事長は、年末から来年初めにもフレキシブル有機ELパネルの生産を始めると語った。スマホ向け有機ELパネル投資は検討中だ。AUOは、現在有機ELパネルは生産が供給に追い付いていないと説明、下半期にはバーチャルリアリティー(仮想現実、VR)端末やウエアラブル(装着型)端末向けの新製品を出荷すると表明した。スマホ向け有機ELパネル投資は時機をうかがっている状況だ。
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