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TSMC20年に5ナノ計画、設備投資5%積み増し


ニュース 電子 作成日:2016年7月15日_記事番号:T00065252

TSMC20年に5ナノ計画、設備投資5%積み増し

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は14日、5ナノメートル立体構造トランジスタ(FinFET)製造プロセスのロードマップを初めて公開し、2020年にサービス提供を開始する計画を明かした。業界で先頭を切る見通しだ。同社は、10ナノプロセスの需要が予想以上で、来年もスマートフォンなどモバイル端末市場の力強い成長が見込めると、今年の設備投資計画を105億米ドルへ5%上方修正した。15日付経済日報などが報じた。

/date/2016/07/15/01tsmc_2.jpg魏哲家共同執行長(左)と劉共同執行長(右)。張忠謀(モリス・チャン)董事長は出席しなかった(14日=中央社)

 劉徳音・共同執行長は、5ナノプロセスのトランジスタ密度は7ナノプロセスの1.9倍だと指摘した。極端紫外線リソグラフィー(EUVL)技術は5ナノプロセスで採用する予定だが、19年に間に合えば、7ナノプロセスで採用する可能性もある。7ナノプロセスはEUVL技術での開発を進めているが、18年の量産は液浸リソグラフィー技術を採用する計画だ。

 7ナノプロセスは、来年第1四半期以降、顧客20社の製品15種がテープアウト(設計完了)し、18年に量産する計画だ。

第2世代InFO、来年導入

 劉共同執行長は、TSMCの10ナノプロセスは顧客3社の製品がテープアウトしており、来年第1四半期に量産する予定だと語った。市場では、顧客3社はアップル、聯発科技(メディアテック)、海信集団(ハイセンスグループ)と予想されている。

 TSMCは、来年10ナノプロセス量産開始に伴い、後工程プロセスで第2世代の集積ファンアウト(InFO)技術によるサービスを開始すると明かした。半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)、矽品精密工業(SPIL)の脅威になる可能性がある。

 TSMCは10ナノプロセスの市場シェアは70%、今年の16ナノプロセスの市場シェアも70%を予測している。

「A11」も独占受注見込み

 TSMCの今年の設備投資計画105億米ドルは、同社の13年の97億米ドルを上回るだけでなく、インテルの今年の90億~100億米ドルを超える。7ナノプロセス、10ナノプロセスの生産能力構築で、ライバルのサムスン電子やグローバルファウンドリーズ(GF)に対するリードを広げる目的もある。TSMCの10ナノプロセスは良品率が高く、来年のアップルのプロセッサー「A11」の独占受注、クアルコムの携帯電話チップや高性能の演算チップ受注が見込める。/date/2016/07/15/tsmc_2.jpg

 劉共同執行長は、今後5年は5~10%増収を目指しており、売上高の半分が携帯電話関連になると語った。今年の携帯電話用半導体デバイス(メモリーを除く)製造、携帯電話用チップの売上高はともに世界市場でシェア55%を占めると予測した。

 今年の世界のスマホ出荷は前年比6%増、長期的には5%増が続くと予測している。

Q2粗利益率、過去最高51%

 同社が発表した第2四半期の連結売上高は2,218億1,000万台湾元(約7,400億円)で前期比9%増、前年同期比8%増だった。粗利益率は過去最高の51.5%で前期比6.6ポイント上昇、前年同期比3ポイント上昇した。純利益は725億600万元で前期比11.9%増、前年同期比8.7%減だった。

 第3四半期はアップルの「A10」独占受注で、前期比14.5~15.9%の増収を予想している。

【図】