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中部をスマートマシン拠点に、5大創新計画が始動


ニュース 機械 作成日:2016年7月22日_記事番号:T00065385

中部をスマートマシン拠点に、5大創新計画が始動

 行政院は21日、蔡英文総統の選挙公約「5大創新(イノベーション)計画」の第1弾として、台中市を中心に中部の都市を連ねる「スマートマシンシティー」推進計画を決定した。経済部の沈栄津次長は、精密機械をクラウド、ロボット、ビックデータ、IoT(モノのインターネット)などに応用し、中部をスマートマシンとハイエンド設備の基幹部品における世界の中心地にしたいと説明した。同計画により、2023年のスマートマシン生産額の目標成長率を5%に設定し、過去10年の年平均成長率(CAGR)2.4%からの倍増を期する。22日付工商時報などが報じた。

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 沈次長は、スマートマシンシティー推進計画の3大戦略として、▽台中市、彰化県、南投県、雲林県、嘉義県で、アジアのモデル地域となるスマートマシンシティーを形成する▽航空宇宙、半導体産業と協力し、航空宇宙の工作機械を開発する▽将来は中国や東南アジアにプラント輸出する──を挙げた。また、自動車部品の応用も、航空宇宙の工作機械の高度化につながると指摘した。

 沈次長は、台中市政府がスマートマシン実験場を計画しているほか、中央政府も研究開発(R&D)計画に対する投資税額控除などの政策措置で支援し、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)や漢翔航空工業(AIDC)などの投資を奨励すると語った。東台精機(東台マシン&ツール)、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)──なども恩恵を受けそうだ。

国際展示会の台中開催を提案

 林佳龍台中市長は、中央政府に対し4年間の産学提携補助や、同市烏日区の台湾高速鉄路(高鉄)特定区での国際機械産業展覧センター建設などへの支援を求めた。また17年の国際航空宇宙国防工業展覧会の会場を台中国際空港(清泉崗空港)とすれば、台中の航空宇宙産業の発展につながると指摘した。

 林台中市長はさらに経済部に対し、台中市の水湳経貿園区に中部スマートシティー発展センターを設立し、工業技術研究院(工研院)機械所、中台湾創新園区の工研院工具機科技中心を移転すれば、集積効果が進むと提案。「国機国造」(軍用航空機の台湾製造)政策とも相まって、台湾内の受注で台中の航空宇宙産業の高度化を図れると語った。AIDCや長栄集団(エバーグリーン・グループ)が海外の航空機大手と提携すれば、海外の受注も狙えるとも述べた。

 スマートマシンシティー推進計画で、例えば制御装置はミドル~ハイエンド製品の輸出構成比を10%から4年後に18%、8年後に30%まで引き上げることを目標にする。スマートマシン産業の生産額は19年に前年比2%増、23年に5%増と、直近10年の年平均成長率2.4%を上回る予測だ。

1兆元産業へ

 台湾機械工業同業公会(TAMI)の柯拔希理事長は、台湾の機械産業は下半期の努力次第で、年間売上高を1兆台湾元(約3兆3,000億円)台に乗せ、昨年の9,500億元を上回る可能性があると述べた。台湾の機械産業は1万社以上の企業を抱えるが、TAMIの会員は2,700社で、上場・店頭公開企業は20社余りしかない。柯理事長は、今後5年以内に50社まで増えるよう全力で支援したいと語った。

 5大創新計画の先頭を切る予定だった「アジアのシリコンバレー」は、イノベーション企業の集積は政府が意図的に推進するものではないといった批判が生じ、進行が遅れている。5大創新計画はこのほか、▽バイオテクノロジー▽クリーンエネルギー▽国防産業の振興──から成る。

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