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鴻海に地場企業が宣戦布告、インドのスマホ生産競争激化


ニュース 電子 作成日:2016年7月25日_記事番号:T00065411

鴻海に地場企業が宣戦布告、インドのスマホ生産競争激化

 インドメディアの報道によると、昨年インドでの携帯電話生産が最大となった鴻海精密工業に対し、地場の携帯電話メーカー、カーボン・モバイルズが4年以内に追い抜くと宣戦布告した。市場調査会社、IDCの統計によると、インドでは第1四半期の携帯電話販売台数の6割が現地生産。緯創資通(ウィストロン)など台湾の受託生産メーカー大手も続々とインド生産に乗り出しており、競争激化が予想される。ただ、部品は依然供給不足で、インドが世界のスマホ工場になるのはまだ先となりそうだ。25日付経済日報などが報じた。

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 インドメディアの報道によると、鴻海は8月第1週に、インド2カ所目となるナビムンバイ(新ボンベイ)工場で、携帯電話の組み立てを開始する計画だ。インドの主要顧客は▽アップル▽華碩電脳(ASUS)▽小米科技(小米、シャオミ)▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)▽一加 科技(ワンプラス)▽深圳市金立通信設備(Gionee)▽広東欧珀移動通信(OPPO)▽インフォーカス──など。今後5年で50億米ドルを投資する計画だ。

カーボン、部品生産も視野

 一方、カーボンは今月22日、ハリヤーナー州で3カ所目の工場を稼働した。同社の発表によると、新工場は生産ライン22本で、モバイル端末の年産能力3,000万台。就業機会4,000件以上を創出する。同社は、自社工場を保有しており、設計、製造、販売、マーケティング、アフターサービスまで現地で一貫サービスを提供すると強調。これにより、顧客の携帯電話ブランドは適正な価格でインドの消費者に製品を提供できるとアピールした。現地報道によると、新工場は年内に自社ブランドやパナソニックなどの携帯電話250万台を生産する計画だ。その他ブランドを扱う可能性もある。同社の来年の投資計画は200億ルピー(約320億円)。

 カーボンは、アーンドラ・プラデーシュ州ティルパティに4カ所目となる新工場を検討しており、携帯電話組み立てのほか、プリント基板(PCB)の表面実装技術(SMT)生産ラインを併設し、バッテリー、コネクターなども生産する考えを示した。さらに、4年後に鴻海を追い抜き、インド最大の携帯電話メーカーとなるほか、部品の現地調達率を70%まで高めることを目標に掲げた。

ウィストロン、新工場計画も

 インドのナレンドラ・モディ首相が掲げる「メーク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」に呼応し、インドの携帯電話メーカーの年産能力は6,000万台に上る。ただ、部品供給は中国からの輸入に頼っている状況だ。

 ウィストロンは、携帯電話販売のオプティマス・インフラコムと合弁でインド工場を設立した。黄柏漙総経理は、7月に量産を開始しており、宏達国際電子(HTC)や中国、インドの地場ブランドが顧客で、当面の年産能力は400万台と説明。インド政府の関税政策によっては、17年にSMT生産ライン設置を検討すると語った。また、今後3~5年以内に2億米ドルを投じ、年産能力1,800万台の工場を設立する計画だ。出資比率はウィストロン20%、オプティマス80%。

 業界関係者によると、スマホの輸入関税は6%から12.5%に引き上げられたが、インドで現地生産すれば、貨物税(物品税)1%しかかからない。インド政府は今年2月にスマホ用バッテリーの輸入関税を引き上げており、今後、部品の現地生産が進むと予測した。

 仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は3月にインド工場で量産を開始した。既存顧客のマイクロマックスのほか、中国の楽視移動智能信息技術(北京)や聯想集団(レノボ)など向けに6月から10万台余りの少量出荷を行っているようだ。

 和碩聯合科技(ペガトロン)は年末に中部の沿海地区に総合工場を設置する計画だ。英業達(インベンテック)は昨年第3四半期にパソコンから量産を開始した。金宝電子工業(キンポ・エレクトロニクス)はインド駐在員を求人しており、遅くとも18年までに投資を決定する。

【表】