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伊勢丹ブランド、台湾から消える


ニュース 商業・サービス 作成日:2008年4月2日_記事番号:T00006550

伊勢丹ブランド、台湾から消える

 
 百貨店大手の伊勢丹(武藤信一社長)は、三越との経営統合を直前に控えた3月31日、高雄市の百貨店、大立伊勢丹百貨(持株比率・大統集団51%、伊勢丹49%)の株式すべてを大統集団に売却し、17年続いた提携関係を満期解消した。これにより、伊勢丹は台湾市場から撤退した。同社は競争激化を撤退の理由に挙げており、今後は中国などを中心に海外展開を進める考えだ。2日付経済日報などが報じた。
 
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撤退も影響微少
 
 業界予測によると、高雄地区の小売業の市場規模は、今年は従来の250億台湾元(約841億円)規模から280億元まで拡大し、3月の都市交通システム(MRT)紅線の開通で、来年には300億元を突破するとみられている。

 市場全体が拡大する一方、大立伊勢丹百貨の昨年の売上高は前年比5.3%減の25億3,300万元で、高雄地区の百貨店市場では4位だった。首位は漢神百貨の100億元で、以下、新光三越が29億4,000万元で2位、遠東百貨の高雄大遠百購物中心が25億元強でこれに続いており、2位から4位まではだんご状態だ。漢神百貨の蔡杉源副総経理は、「伊勢丹が撤退しても高雄の百貨店市場に与える影響は大きくはない」と指摘している。

 高雄では、昨年5月に東南アジア最大のショッピングモール、統一夢時代(ドリームモール)や、統一阪急百貨店もオープンした。しかし、いずれも昨年の売上高目標90億元には届かなかった。

飽和状態を忌避
 
 伊勢丹と三越の経営統合により1日発足した三越伊勢丹ホールディングスはワイズメディアの取材に対し、「限られた経営資源を選択、集約した結果だ。台湾市場は今や飽和状態にあり、今後は中国と東南アジアを中心に展開していく」と撤退理由などを説明した。伊勢丹は、昨年は中国成都、今年3月に瀋陽で新規出店を行い、北京に新店舗をオープンする予定だという。現在は中国のほか、欧州、シンガポール、マレーシア、タイにも展開している。

 伊勢丹は当初、高雄から台湾全土への展開を計画していたが、大統集団が高雄を本拠地とすること、および新光三越や太平洋そごうの勢力拡大から最終的に撤退を決め、中国市場への転換を図ったと経済日報は分析している。

大立百貨は引き続き営業
 
 大立伊勢丹百貨の前身、大立百貨は1984年に設立された。91年から伊勢丹が出資を開始し、総経理、副総経理、主要幹部の多くが日本側から派遣され、台湾で最も日本側の出資比率が高い百貨店だった。1日から「伊勢丹」の名が外された大立百貨(TALEE’S)は、日系高級スーパー、citysuper(シティースーパー)の元総経理、竹村匡史氏が総経理に就任する。

 大立百貨によると、大統集団の単独資本となるが、出店店舗に影響はないという。地下1階、地上12階と屋上から成る同店には、紀伊国屋書店、ドトールコーヒーなどが入居しており、3日には中嶋水産が出店する。