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TSMC28ナノ年内フル稼働へ、メディアテックからスマホ向け追加受注


ニュース 電子 作成日:2016年7月29日_記事番号:T00065514

TSMC28ナノ年内フル稼働へ、メディアテックからスマホ向け追加受注

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)から今週、スマートフォン用チップの28ナノメートルHPM(ハイパフォーマンスモバイルコンピューティング)製造プロセスの追加受注3万枚が舞い込み、第4四半期に28ナノプロセス生産ラインがフル稼働の見通しとなった。業界では、TSMCがメディアテックに出荷する来年第1四半期まで、供給不足が続くとみられている。29日付経済日報が報じた。

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 証券会社は、市場のスマホ需要がミドル~ハイエンド機種に移行する中、広東欧珀移動通信(OPPO)、維沃移動通信(vivo)、深圳市金立通信設備(Gionee)など中国ブランドの販売が伸びており、メディアテックが恩恵を受けていると指摘した。

 メディアテックは、スマホ用チップ出荷量の急増を受け、5月にもTSMCに2万6,000枚を追加発注していた。メディアテックのスマホ用チップは、ミドル~ハイエンドチップ「MT6750」「MT6755(Helio P10)」がよく売れている。

 証券会社は、ファウンドリーの工場1基の生産能力は6万~12万枚のため、今回の3万枚の追加発注は大規模といえると指摘。TSMCは第3四半期末まで受注が満杯だったので、メディアテックからの追加受注は第4四半期になると推測した。ファウンドリーの製造期間は2~3カ月のため、メディアテックへの納入は来年第1四半期になる見通しだ。

生産計画と粗利益率が課題に

 サプライチェーンによると、OPPOは10月から中国の通信キャリア大手、中国移動通信(チャイナ・モバイル)からの補助金がほぼ廃止されるため、人気の「OPPO R9」の次世代機種「OPPO R9S」をクアルコムのチップに変更する。これにより、OPPOはメディアテックのチップ採用比率が5割に下がる。

 ただメディアテックは、大手ブランド以外の顧客開拓が奏功し、クアルコムに出荷量で迫っている。証券会社は、今後は正確な生産販売計画を立てなければ、供給不足や在庫高に陥ると警告した。

 メディアテックは今年からスマホとタブレット端末用チップを合わせて計算しており、第1四半期出荷予測は1億セット、第2四半期は1億3,000万~1億4,000万セットだった。サプライチェーンは、今年は5億セットに迫ると予測している。昨年末時点の予想は、前年比2割増の4億8,000万セットだった。

 メディアテックは2010年にスマホ用チップ市場に参入し、11年の出荷は1,000万セットだったが、12年に1億セットを超えた。第2世代移動通信システム(2G)対応フューチャーフォンから3G対応スマホ移行時は、チップの平均販売価格(ASP)引き上げに成功したが、3Gから4G移行では高い成長曲線を描けていない。スマホ価格下落に反して、チップの製造コストは上昇しており、メディアテックの今年第2四半期の粗利益率予測は33.5~36.5%、通年は35~38%とかつてない低水準だ。

【表】