ニュース 商業・サービス 作成日:2016年8月8日_記事番号:T00065689
スマートフォン用AR(拡張現実)ゲーム「ポケモンGO」の配信が6日台湾でも始まり、公園や路上、商業施設内など至る所でゲームを楽しむ人々の姿が見られた。百貨店、量販店、遊園地はキャラクターの出現情報やキャンペーンで客を呼び込み、週末の売上高を3割伸ばした商業施設もあった。プレー規格を満たしたスマホ機種への買い替え、データ通信量増大に対応するために第4世代移動通信システム(4G)インターネット使い放題プランへの変更を促すことなどが予想されている。台湾もポケモン商機「ポケモノミクス」の盛り上がりが期待できそうだ。8日付聯合報などが報じた。
台北市の東区商圏では、ポケモン捕獲のため普段以上にスマホをいじる姿が多かった(7日=中央社)
ポケモンGOは7月6日に米国などで、22日に日本で配信が始まり、世界的な人気となっている。台湾では6日午前8時59分に配信がスタートした。中国語バージョンはなく、英語バージョンのみだが、待ち望んでいたユーザーのダウンロードが相次ぎ、わずか3時間でアプリストアの無料アプリランキング首位となった。フェイスブック(FB)やインスタグラムでの注目度はリオデジャネイロ五輪を上回った。
ポケモン捕獲が多いスポットは、台北駅や西門町、東区商圏などの繁華街、新光三越百貨、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)などの商業施設、士林夜市(ナイトマーケット)、逢甲夜市などの観光地、公園や台北市政府、立法院などの行政機関など。高雄市の統一夢時代購物中心(ドリームモール)は、ポケモンを10匹捕獲すれば、近隣の恐竜展の入場無料、同行者1人無料などのキャンペーンを打ち出し、家族連れの来店客が増えたと説明した。量販店大手、大潤発(RTマート)は、内湖1号店で10匹以上捕まえたなどの情報で、ポケモンGOゲーマーが続々と集まったことから、台湾全土の店舗網で来店客2割増を見込んでいる。家楽福(カルフール)は、中元節(旧暦7月15日、今年は8月17日)セールで人出が多い上、ポケモンを捕まえるための来店客も多く、サービスセンターにモバイルバッテリーを借りに来る人が多かったと説明した。
雲林県のテーマパーク、剣湖山世界主題楽園は、ポケモン30匹捕獲でアイスクリーム引換券がもらえるキャンペーンで来場客を呼び込んだ(7日=中央社)
投資会社のアナリストは、ポケモンGOで遊ぶとデータ通信量が増えるので、モバイルバッテリーは必携だと指摘した。現在、インターネット使い放題プランの契約は半分にすぎないので、中華電信、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)、台湾大哥大(台湾モバイル)が恩恵を受けると予想した。通信会社は、夏季休暇のため特に学生からの使い放題プラン申し込みが増えると予想されるが、まだ優遇プランは計画していないと説明した。
インターネット通販大手、楽天市場の統計によると、世界でポケモンGO配信が開始してから、ポケモン、ピカチュウなどのキーワード検索が3割増えており、台湾での配信開始を受け、関連商品の販売量は5割以上増える見通しだ。オークションサイト、露天拍売は、ポケモンのキーワード検索が世界での配信開始前と比べて12倍に増え、ピカチュウ関連商品は2万6,000件に上った。
スマホ危険利用、検挙221件
交通部は6日、事故防止のため、高速道路、一般道、台湾鉄路(台鉄)、台湾高速鉄路(高鉄)、空港の管制区などでのポケモンGOを禁じると発表した。罰金は最高2万5,000台湾元(約8万円)だ。警察が取り締まりを強化した結果、検挙は7日午後7時までに221件に上ったが、スマホの危険利用が大部分で、ポケモンGOユーザーは2割にすぎなかった。
タクシー最大手、台湾大車隊のある運転手は、7日午前に若者2組6人に1時間400元でチャーターし、台北101や永康商圏、故宮博物院などの観光地を巡りながら、ポケモンを捕獲したと語った。車内にUSB電源を準備しているため充電も可能で、ポケモンブームで売り上げが1割増えると見込む。一方、高雄市のタクシー会社、中華衛星車隊は、ポケモン出現で急停止を迫られれば危険を伴うと、商機に否定的な考えを示した。
国立故宮博物院や奇美博物館は7日、展示物の保護や来館者の権益確保のため、館内でポケモンGOを禁止すると発表した。学校敷地内でのポケモンGO禁止も検討されており、台湾でも各国同様、ルール作りが課題となりそうだ。
VR/AR商機、800億ドルへ
ポケモンGO人気で恩恵が予想されるのは、百貨店や量販店、ホテルや通信キャリアのほか、スマホブランドや受託生産の▽宏達国際電子(HTC)▽華碩電脳(ASUS)▽宏碁(エイサー)▽鴻海精密工業──、ネットワーク機器の▽友訊科技(D-Link)▽智邦科技(アクトン・テクノロジー)▽合勤科技(ザイセル・コミュニケーションズ)▽正文科技(ジェムテック・テクノロジー)▽中磊電子(サーコム)──、モバイルバッテリーの▽順達科技(ダイナパック)▽新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)──など。歩きやすいスポーツシューズが注目される可能性から、製靴の▽宝成国際集団(PCG)▽豊泰企業▽鈺斉国際(ファルジェント・サン)──も恩恵を受けそうだ。
市場調査会社、拓ボク産業研究所(ボクはつちへんに僕のつくり、TRI)は、2020年にAR市場規模は300億米ドルに達すると予測した。ゴールドマン・サックスは、25年にバーチャルリアリティー(VR)とAR市場規模は800億米ドルとなり、うちソフトウエアが350億米ドル、ハードウエアが450億米ドルと予測した。
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