ニュース 運輸 作成日:2016年8月10日_記事番号:T00065736
復興航空(トランスアジア航空)は9日、完全子会社の格安航空会社(LCC)、威航(Vエア)を10月1日に吸収合併すると発表した。台北(桃園)~福岡、チェンマイ(タイ)は復興航空が引き継ぎ、残り7路線は運航を終了する。Vエアは累計損失が9億台湾元(約29億円)に上り、14年12月の初就航からわずか1年半余りで撤退を迫られた。交通部民用航空局(民航局)によると台湾虎航(タイガーエア台湾)も同様の状況で、台湾系LCCはわずかな期間で姿を消してしまう恐れがある。10日付経済日報などが報じた。
Vエアには、イメージキャラクターのVベアと記念撮影するサービスがあった。残念ながらVベアともお別れだ(YSN)
Vエアは9月末、▽大阪(関西)▽名古屋(中部)▽沖縄(那覇)▽バンコク▽プサン(釜山)──線の運航を停止する。羽田、茨城線については先日、9月20日で運航を停止すると発表していた。10月以降に出発する販売済みの航空券のうち、個人旅行5万5,000枚は復興航空への振り替えか全額返金を行う。ツアー客1万3,000枚については旅行会社と協議の上、手続きする。
同社は、9路線の旅客輸送は累計58万人に上り、チェンマイやバンコク路線は搭乗率77%以上だったと強調した。
同社関係者は、Vエア運航停止について▽Vエア設立前後に、親会社の復興航空が2度の墜落事故(14年7月、15年2月)を起こし、イメージが低下した▽各社の日台路線就航が相次ぎ、供給過剰になった▽訪台中国人旅行者の縮小で、中台路線に参入できなかった──ことを理由に挙げた。
復興航空は、Vエアの福岡、チェンマイ路線と、旅客機4基を引き継ぐ他、仙台路線の第4四半期就航を申請したと説明した。今後はフルサービスキャリア(FSC、レガシーキャリア)とLCCの中間の位置付けを目指す。
タイガーエア台湾、減便で対応
民航局は、外資系LCCは04年から台湾市場に参入したが、Vエアと中華航空(チャイナエアライン)傘下のタイガーエア台湾は14年下半期と遅かったと指摘。累計損失は9億元、10億元に上り、それぞれ資本金20億元の半分近い。いずれの平均搭乗率も70%前後にすぎないが、タイガーエア台湾が撤退するという話は現時点で聞いていないと説明した。
タイガーエア台湾は、10月から福岡、名古屋路線を減便するなど、既に冬期スケジュールを見直したと説明した。兼任から専任に変更した董事長に、中華航空の中国海南省・海口支社総経理だった張鴻鐘氏が16日に就任し、黒字転換を目指す。
中華・エバー航空にも脅威
中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会)は、Vエアとタイガーエア台湾は市場への参入が遅すぎ、設立15年のマレーシアのLCC、エアアジアと比べれば大人と子供で、勝負にならないと指摘した。
航空業界関係者は、台湾のLCC市場シェアは20~30%と、東南アジアの50%ほど高くないと指摘。タイガーエア台湾が撤退すれば、外資系LCCがその市場を握り、中華航空、長栄航空(エバー航空)にも脅威となると予測した。
市民からは、台湾系LCCが消滅し、外資系LCCだけになれば、トラブルが起こった時に困るとの声が聞かれた。
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