ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

鴻海のシャープ買収を中国承認、早急な実行表明


ニュース 電子 作成日:2016年8月12日_記事番号:T00065797

鴻海のシャープ買収を中国承認、早急な実行表明

 鴻海精密工業は11日、中国当局にシャープへの出資が認められ、各地域の独占禁止法に関わる審査が完了したため、早急に出資を完了すると発表した。日本市場では、払込期限の10月5日までに出資が実行されず、鴻海はシャープの液晶パネル事業のみを購入する権利を行使するとの見方も出ていた。最初の出資交渉から4年半、早ければきょう12日にも出資が完了し、鴻海の悲願が果たされる。白物家電やスマートフォンブランド、太陽電池のほか、念願の有機EL(OLED)パネル技術を手に入れ、大手同士の日台連合が誕生する。12日付経済日報などが報じた。

/date/2016/08/12/honghai_2.jpg

 鴻海は今年4月2日、シャープに3,888億円を出資し、株式66%を取得する契約を締結した。5月末に経済部投資審議委員会(投審会)の審査を通過し、6月下旬に欧州連合(EU)当局にも認められた。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は6月下旬の株主総会で、6月末までに出資を完了すると宣言したが、中国当局の審査が長引き、実現していなかった。日本では鴻海が2012年に合意したシャープへの5%出資を破談にした上、今回も買収合意後に出資額の大幅減額に持ち込んだことなどから不信感が広がり、液晶パネル技術だけが目的でシャープを見捨てると不安視されていた。一方、台湾では、シャープが鴻海の出資を待たずに自社単独で有機ELパネルの研究開発(R&D)に踏み切れば、鴻海や傘下のパネル大手、群創光電(イノラックス)に不利になると懸念されていた。

 情報筋は、中国の独占禁止法に基づく審査は通常3カ月かかるので、3カ月以内なら順調との見方を示した。今後の課題は、郭董事長の発言通り「早ければ2年、遅くとも4年以内にシャープを黒字転換」できるかだと指摘した。

 鴻海のシャープ買収実現にめどが付いたことを受け、シャープの株価は12日の終値が106円と前日終値89円から19.1%の大幅上昇となった。鴻海のシャープ株買取価格は88円。一方、鴻海の12日終値は86.2台湾元(約280円)と、前日終値89.5元から3.7%値を下げた。

Q2は35%減益

 鴻海が同日発表した第2四半期の連結売上高は9,221億3,600万元だった。これまで8四半期連続で7%台だった粗利益率は6%(前期比1.05ポイント下落、前年同期比1.2ポイント下落)、営業利益率は2.25%(前期比1.44ポイント下落、前年同期比1.15ポイント下落)、純利益率は1.9%(前期比0.98ポイント下落、前年同期比0.74ポイント下落)と軒並み下落し、いずれも過去3年で最低だった。純利益は176億8,400万元と前期比35.9%減少、前年同期比32.2%減少し、過去3年で最低だった。1株当たり純利益(EPS)は1.02元と、13年第3四半期以来の最低だった。

 鴻海は、第2四半期は非需要期だった上、製品構成の見直しや、研究開発(R&D)費がかさんだことで、粗利益率が下がったと説明した。

 上半期の連結売上高は1兆8,801億4,600万元で前年同期比5.37%減少した。粗利益率は6.55%と0.62ポイント下落、営業利益率は2.98%と0.63ポイント下落した。純利益は452億6,100万元と19.28%減少した。EPSは2.62元と0.99元減少した。

【表】