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高鉄新3駅、利用低迷で閑古鳥鳴く


ニュース 運輸 作成日:2016年8月16日_記事番号:T00065843

高鉄新3駅、利用低迷で閑古鳥鳴く

 交通部の統計によると、台湾高速鉄路(高鉄)が昨年12月に開業した苗栗、彰化、雲林の3駅は、7月の1日平均乗降者数が延べ5,400人余りで、うち彰化駅は1便平均22人にすぎなかった。高鉄は、大部分が週末の帰省や通勤利用のためで、高鉄で往復する観光プランで利用を促進していると説明した。交通部高速鉄路工程局(高鉄局)は、減便は当面検討しないと表明した。16日付聯合報などが報じた。

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 7月の1日平均乗降者数は、▽苗栗、1,547人▽彰化、1,323人▽雲林、2,634人──と、3駅開業前に最も少なかった嘉義駅の6,700人を大きく下回っている。彰化駅は1日64便が停車するため、1便平均22人余りの計算だ。

 6月の乗降者数をみても▽苗栗、5万人▽彰化、4万人▽雲林、8万人──と、嘉義駅の20万人をはじめ既存駅の2桁水準に届いていない。台北駅(乗車127万人、下車125万人)を筆頭に、全11駅(7月開業の南港駅を除く)は合計456万人で前月比1.19%減、前年同月比11.63%増だった。高鉄利用者が前年同期比47万人増えた一方、新3駅は合計17万人で貢献は限定的だった。

 高鉄は昨年12月~今年1月末まで、3駅のいずれかを利用した場合に同区間の乗車券を1枚無料で進呈する「買一送一(1点購入で2点目無料)」キャンペーンを実施した。2007年の開業以来初めての試みで、旅客輸送量はまずまずだったが、キャンペーン終了後、春節(旧正月)など連休があった2月を過ぎると、3駅の平均乗降者数は激減。7月の南港駅開業に伴うダイヤ改正で、3駅は10便以上が減便となった。

 高鉄駅近くのテーマパークで働く苗栗市在住の女性は、苗栗駅ができてから週に1回以上乗っているが、週末や月曜は乗客が多く、空いていると感じたことはなく、周りの友人も出張や学校の授業のために利用していると話した。彰化県田中鎮の謝文賢鎮長らは、シャトルサービスが整備されていないので高鉄利用者はまだ少ないが、これ以上減便すればさらに利用が減ると懸念を示した。

観光利用が課題

 高鉄局は、台北駅や台中駅と異なり、3駅はビジネス利用が少ない上、観光利用もまだ不十分で、軌道に乗るまで時間がかかると弁明した。

 彰化駅は利用が最も少ないが、彰化県の人口は128万人と、雲林県70万人、苗栗県56万人を上回る。あるネットユーザーは、彰化駅は彰化県の南に位置し、人口が多い彰化市や員林市まで距離があるため、北上する場合や南投県に住む人は台中駅を利用し、彰化県の南西部に住む人は雲林駅を利用していると推測した。

 逢甲大学運輸科技管理学系の李克聡副教授も、彰化駅は台中駅と近過ぎるのが利用が少ない理由と分析した。苗栗駅は産業園区がなく、ビジネス利用が少ないと指摘した。交通部に対し、シャトルバスサービスを充実させ、アクセスの不便さによる利用意欲への影響を減らすよう提言した。

 成功大学管理学院交通管理科学系の鄭永祥教授は、利用促進のため、オフピーク運賃を設定したり、空席を優待価格で旅行会社に販売したり、周辺のホテルやテーマパークとの提携プランを提供することを提案した。

【図】