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フレキシブル有機EL、官民で産業クラスター形成へ


ニュース 電子 作成日:2016年8月17日_記事番号:T00065872

フレキシブル有機EL、官民で産業クラスター形成へ

 経済部は16日、フレキシブルアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)やパッシブマトリックス式有機EL(PMOLED)パネルの産業クラスター形成を推進すると表明した。友達光電(AUO)など官民で投資額1,000億台湾元(約3,200億円)を見込む。ディスプレイの次の主流と目されるAMOLEDパネルは、サムスン電子が世界市場で9割以上のシェアを占める。台湾調達率を100%に引き上げることで、AMOLEDパネル不足のリスクを低減し、電子業界の競争力を強化する。17日付経済日報などが報じた。

/date/2016/08/17/00top1_2.jpg彭AUO董事長(左3)は、フレキシブルディスプレイはIoT(モノのインターネット)に応用できると指摘した(16日=中央社)

 経済部は同日、フレキシブルAMOLED産業の宣誓大会を開催した。▽AUO▽錸宝科技(RITディスプレイ)▽宏達国際電子(HTC)▽工業技術研究院(工研院)──や、日本のリンテック、アルバック、イスラエルのオルボテックなど、材料、部品、生産設備、最終製品ブランドの関連企業20社以上が出席した。工研院は、フレキシブルディスプレイ関連の特許を多数保有している。

/date/2016/08/17/flexible_2.jpg

 李世光経済部長は、昨年の台湾パネル産業の生産額は9,500億台湾元(約3兆円)で、製造業の7.4%を占め、就業機会10万件以上を創出しており、企業の商機獲得を支援すると述べた。

 経済部の傅偉祥技術処処長は、サプライチェーンの垂直統合を図り、2年以内に台湾での調達比率を100%に引き上げる目標を掲げた。過去10年の開発の成果によって、材料の台湾調達比率は80%、設備は60%まで達している。

 工研院の李正中・影像顕示科技センター副主任は、台湾は有機EL投資で遅れを取ったが、量産能力は負けておらず、特にフレキシブルディスプレイ技術の研究開発(R&D)では日韓に劣らないと指摘した。

/date/2016/08/17/00top2_2.jpg工研院のオンセル型AMOLEDタッチパネル試作機(経済部リリースより)

資金が問題=AUO

 AUOの彭双浪董事長は、AMOLEDやフレキシブルディスプレイの工場建設は投資額が数百億元に上り、企業が単独で投資するのでなく、官民が協力して韓国、日本、中国などの強敵に立ち向かおうと呼び掛けた。なお、瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)傘下の和鑫光電(ハンスタッチ・ソリューション)はサムスンにAMOLEDタッチセンサーを供給している。市場観測によると、サムスンは和鑫光電に共同出資による増産を求め、投資額18億元のうちサムスンが10億元を負担したもようだ。

 PMOLEDパネルメーカーの錸宝科技は、フレキシブル有機ELパネルの剝離(デボンディング)技術を工研院と共同開発しており、早ければ17年に量産に入る見通しだ。19年にはフレキシブル有機EL照明パネルも量産する計画だ。

供給不足、来年まで

 AMOLEDパネルは中国ブランドのスマートフォンで搭載率が上昇し、供給不足に陥っている。アップルのiPhoneが来年AMOLEDパネルを採用するとのうわさも出ており、このまま需要が増え続ければ、スマホブランドによる他の部品調達に悪影響を及ぼす恐れもある。

 市場調査会社、IHSの統計によると、第1四半期のAMOLEDパネル出荷量は8,700万枚で前年同期比63%増えた。今年スマホへのAMOLEDパネル搭載率は21%の予測だ。

【表】