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蔡政権に不満の企業58%、労働政策の不手際響く


ニュース その他分野 作成日:2016年8月19日_記事番号:T00065925

蔡政権に不満の企業58%、労働政策の不手際響く

 蔡英文政権発足から100日を目前に、104資訊科技集団が行った企業向けのアンケートで、新政権に不満との回答が58.3%と満足の41.7%を大幅に上回った。不満の理由の上位3項目は国定休日の扱いをめぐる混乱など、いずれも労働政策に関するものだった。満足できる項目は全くないとの回答も21.7%に上り、蔡政権に対する産業界の不信感が浮き彫りになった。19日付工商時報などが報じた。

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 不満足度が高かった項目は、▽完全週休2日制導入までの国定休日7日の扱いをめぐる対応、41%▽7日ごとに1日の休日を付与する「六勤一休」・法定休日と所定休日を7日ごとに各1日設ける「一例一休」・休日出勤手当の引き上げなどの推進、37.1%▽中華航空(チャイナエアライン)ストライキ対応とその波紋、24.3%──だった。

 労働争議が多発する中、企業の31.9%は給与水準とともに経済成長率も引き上げることが切迫した課題だと指摘した。続いて▽年金改革、26.8%▽若年層の低賃金問題、26.1%──だった。

信頼感崩壊、企業の52%

 調査によると、蔡政権の施政改革が実感できるまでにかかる時間は、従来予想より長引くと回答した企業が68.5%に上った。長引く時間の平均は10カ月で、12カ月以上との回答も49.9%に上った。蔡氏が総統に当選した1月の調査では、平均15カ月という結果だったため、成果が実感できるまで2年以上かかるとの見方になっているといえる。企業の52%は、蔡政権の今後4年間の任期に信頼感が持てないと回答した。

 一方、満足度が高かった項目は、▽最低賃金の引き上げ案、26%▽年金改革の推進、24.5%▽中高年齢者の雇用に関する法制化、24%──だった。

業種別の対応を=経済部

 李世光経済部長は18日、全ての業種に同一の労働時間を押し付ければ企業が競争力を失うとして、業種ごとにそれぞれ労働時間のルールを制定するよう表明した。「一例一休」全面導入に、反対意見を突き付けた格好だ。経済部関係者によると、緊急受注に対応しなければならない半導体メーカーや、需要期は連続生産が必要な石油化学メーカー、3交代制を導入している従来型の製造業などを想定している。

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、製造業とサービス業に同じルールを適用すれば問題が出るのは明らかで、「サービス業労働専章」を設け、一部業種は「六勤一休」の適用から除外するよう提言した。頼理事長は▽バス▽物流▽警備▽旅行▽ホテル▽飲食店▽葬儀▽スーパーマーケット▽家具▽ラジオやテレビ──など20以上の同業組合、企業40社以上から苦情の声が届いていると話した。

 台湾水泥(台湾セメント、台泥)の辜成允董事長は、労使と政府がよく話し合えば、争議は解決し、政策もうまくいくと呼び掛けた。

【図】