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「百億元の陶器」が目玉の展示会、贋作指摘で終了


ニュース 社会 作成日:2016年8月19日_記事番号:T00065939

「百億元の陶器」が目玉の展示会、贋作指摘で終了

 高雄市の博物館で7月から行われていた、中国の美術作品をテーマとする特別展で、価値が総額で100億台湾元を超えるとして話題を集めていた、明朝時代の陶器3点が全て偽物との可能性が高まり、展示会が予定期間を切り上げて終了する事態となった。

 今回、贋作(がんさく)が指摘されたのは7月9日から高雄市の国立科学工芸博物館(科工館)で開催されていた特別展で、清朝の宮廷画家、ジュゼッペ・カスティリオーネの作品と明朝時代の陶器、「闘彩鶏缸杯」「闘彩三秋杯」「脱胎甜白暗刻竜紋天字杯」の3点を目玉展示としてうたっていた。

 しかしこの3点について参観者の一部から「偽物ではないか」と疑問視する声が上がる中、同特別展は予定していた今月22日までの日程を早め、11日に突如終了を決めた。館側は「主催者の欣鑫文化伝播の財務問題が理由」と説明している。

 なお「闘彩鶏缸杯」は現在、世界に19点が現存し、うち3点を個人が所有するほか、台湾や北京の故宮博物院にも所蔵されている。また1点は一昨年に開かれたサザビーズのオークションで、台湾元にして10億8,000万元という中国の陶器競売史上最高値を更新。しかし、落札した上海のコレクターは18日、「科工館には貸し出していない」とコメント。特別展に展示されたものが偽物である可能性が高まった。

 また「闘彩三秋杯」は世界に5組しか現存しない上、「本物」と公式に認められているのは北京の故宮博物院に所蔵されているものだけ。しかも今年、同館から台湾への収蔵品の貸し出しは行われていないという。「脱胎甜白暗刻竜紋天字杯」については現存数は不明で、主要な博物館での収蔵もなく、数十億元の価値を持つとされるものの、これまでオークションにかけられたことがない「幻の逸品」となっている。

 なお今回の特別展は100億元を超える品を展示しながら、保安要員も配置されず、監視設備も設置されておらず、主催者は「確信犯」だった可能性がある。行政院消費者保護委員会(消保会)の林祺祥秘書長は、展示物の贋作が明らかとなった場合、主催者は詐欺の罪で最高5年の懲役刑を受ける可能性があると指摘した。